空から“30センチの魚”が降ってきた…試合中に起きた“生き物ハプニング”
「突然上から落ちてきた」
プロ野球は今年もセ・パ交流戦に突入し、熱戦たけなわだが、時にはグラウンドに異物が落下したり、鳥が乱入するなど、想定外のハプニングで試合が中断することもある。【久保田龍雄／ライター】
空から魚が落下してくるという、“世にも不思議な事件”が起きたのが、2016年5月8日の阪神対ヤクルトである。2点を追う阪神の6回の攻撃中、打者・ゴメスに対し、原樹理が2球目を投げた直後、レフトを守っていたバレンティンの近くに30センチほどの魚の死骸が落下してきた。
「ギョッ（魚）!」と驚いたバレンティンは、即座にタイムを要求し、試合は一時中断。スタンドも騒然となった。怯えた表情のバレンティンは、芝生上の落下物を指差して「何とかして!」と必死に訴え、近寄ろうともしない。
審判員が現場を確認し、ホウキと塵取りを手にしたボールボーイが出動。手際良く魚の死骸を片付けたが、一部が消化された状態で、原形をとどめていなかった。
ようやく落ち着きを取り戻したバレンティンは「突然上から落ちてきた。ファンが投げたのかと思った。匂いがすごかった」と証言した。センターを守っていた比屋根渉も「白くてドロドロ……。匂いがやばかった」と、思い出すのも嫌と言いたげだった。
球場関係者によれば、落下地点から見て、何者かがスタンドから投げ入れた可能性はなく、上空を飛んでいた鳥がくわえていた魚を落としたと推測された。
球団は“魚騒動”に便乗
空から魚が降ってきたことがよほどショックだったのか、バレンティンは7回の打席でこの日2つ目の三振に倒れると、ベンチに下がったが、試合は主砲離脱の影響もなく、ヤクルトが5対1で快勝した。
さらに、ヤクルト球団は、この“魚騒動”に便乗して「バレンティンvs FISH Tシャツ」を販売。異臭を放つ魚の死骸に顔をしかめるバレンティンのコミカルな姿をデザインしたものだったが、ネット上では「こんな匂ってきそうなTシャツ、誰が買うんだ?」の声も出た。
試合中にハトとカラスの壮絶な空中バトルが繰り広げられたのが、13年5月5日の西武対日本ハムである。4回裏、2点をリードした西武は2死無走者で片岡治大が打席に立ったが、武田勝が初球を投げた直後、捕手・鶴岡慎也が二塁方向を指差し、試合が中断した。
見ると、二塁後方に1羽のハトがうずくまっていた。西武ドームの天井付近を飛んでいるところをカラスに襲撃され、空中バトルの末、傷ついて落下したようだ。
ショート・大引啓次、セカンド・西川遥輝、工藤和樹一塁塁審、深谷篤二塁塁審の4人がうずくまっているハトに歩み寄り、心配そうに覗き込んだ。
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