芳野友子・連合会長に内部から不満噴出 関係者は「このまま会長を続けたら連合はバラバラになる」

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「何が悪いの? これまでの会長も行っていたでしょう?」

 連合の芳野友子会長は、自民党の会合への出席を自重するように求める会長代行2人の説得を振り切った。連合執行部に生まれた埋めがたい亀裂。7月の参院選後に、連合内で芳野降ろしの動きが出てくる可能性まで囁かれている。発言や動向に注目が集まる一方で、評価が分かれる芳野会長の実像を取材した。【青山和弘/政治ジャーナリスト】

無邪気で直感的な人物

 4月27日、夏のような蒸し暑さに包まれた御茶ノ水の連合本部。8階の会長室に入ると芳野会長は笑顔で待っていた。オフレコの約束なので話の内容は明らかにできないが、連合の役割、立憲民主党の現状、共産党の見方などざっくばらんに語り合った。

 私は初対面だったのだが、警戒されている様子もなく、無邪気に直感的に話す人物だとの印象を受けた。少なくとも言えるのは、女性だということを抜きにしても私が知る過去の連合会長にはいなかったタイプだということだ。「次は是非インタビューをお願いします」と言って席を立つと、丁寧にエレベーターまで見送ってくれた。

 芳野氏は1966年生まれ。高校卒業と同時にミシンメーカー「JUKI」に入社し、2010年にはJUKI労働組合の委員長に。そして2021年、神津里季生前会長の後任を決める連合会長選びは混迷し、副会長の一人だった芳野氏に白羽の矢が立った。

 芳野氏と年齢、境遇が近く、親交の深い女性議員がいる。パナソニック労組出身で国民民主党の矢田わか子参院議員だ。この時、迷う芳野氏にこう声をかけた。

「(会長ポストを)絶対引き受けるべきよ。連合のイメージを刷新してほしい」

 男性社会の労働組合の中で、お互いに励まし合ってきた2人。そんな芳野氏が連合のトップに就くことは、矢田議員は夢のように感じると同時に、これ以上ない変革のチャンスに思えた。

共産党への嫌悪

「残念ながら女性には『ガラスの天井』があり、本人たちの気持ちとは裏腹に労働界から去る姿を見てきた」

 昨年10月、新会長を選出した連合定期大会でこのように演説し、脚光を浴びて船出した芳野会長だが、就任会見から衆院選での立憲民主党と共産党との共闘に不快感を示して注目を集める。確かに連合はこれまでも自由で民主的な労働運動を掲げ、共産党と対立してきた。

 しかし、神津前会長と立憲民主党の枝野幸男代表(当時)は議席を一つでも増やそうと、連合が容認できる「閣外からの協力」というギリギリのラインを模索し、野党候補の一本化を進めてきた。芳野会長はその積み上げをいきなり否定したに等しい。

 立憲民主党や連合内部からは「芳野会長は野党共闘なしで与党に勝てると思っているのか」「選挙戦術に口をはさむのは越権だ」などと批判が噴出した。枝野氏も周辺に「芳野さんの姿勢は自民党を援護したようなものだ」と苦々しく語っていた。

 しかし、芳野会長は選挙後も共産党との共闘に否定的であり続けた。枝野氏の後任の泉健太代表は就任当初、「共闘は白紙」という認識を示したが、芳野会長はこのところ周辺に「結局はっきりしないで、泉さんも期待外れだったわね」と失望感を露わにしている。

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