〈ちむどんどん〉東京編もパッとせず…賢秀は愛されないただのダメ男ではないか

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 NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」は5月16日放送の第26話から東京編に入ったが、いまだ評判は高まらず、視聴率も上昇しない。期待の中で始まりながら、どうして隘路に迷い込んでしまったのだろう。

「ちむどんどん」は放送開始前、沖縄本土復帰50年に合わせた朝ドラで、4兄妹の50年の歩みを描くと説明されていた。期待した人は多いはず。

 また、「時代を超えどんな逆境の中でも、世界でいちばん美しいもの――それは家族です」と、謳われていた。どんな家族が描かれるのかも楽しみだった。

 ところが、ヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜、25)の兄・賢秀(竜星涼、29)が並外れたダメ男で、態度が一向にあらたまらないから、一家は苦労続き。この物語を目の前に出されて、「世界でいちばん美しいのは家族です」と、言われても困ってしまう。

 観る側が愛せるダメ男もいる。例えば日本テレビ「俺の話は長い」(2019年)で生田斗真(37)が演じたニートの満である。満はやさしく、家族思いである上、目立った迷惑はかけなかった。

 一方、賢秀は愛するのが難しい。子供のころから3人の妹より自分が優先。通貨交換詐欺に遭い、一家の借金を増やそうが、反省の色なし。上京し、プロボクサーになり、60万円送金してきたものの、それも借金。ええかっこしいでもある。おまけに2試合目でリングから逃げ出し、ボクシングも辞めてしまった。

 暢子と横浜市鶴見区にあるリトル沖縄で再会すると、「暢子のためなら、なんだってやる」と豪語。もはや観る側は信用していなかったが、案の定、暢子のカネを持って逃げた。

 どこへ行くのかと思ったら、公営ギャンブル。負けてしまったものの、ガッカリせず、怒っていた。おそらく賢秀シンキングでは「オレが悪いんじゃない、勝たせないギャンブルが悪い」となるのだろう。

 もちろん、賢秀は架空の人物だから、責められない。演じている竜星涼にも非は一切ない。制作側のキャラクター設定に問題があると思わざるを得ない。

 端役なら愛せないキャラも分かるが、賢秀は主要登場人物の1人。なぜ、こんなキャラにしたのだろう。斬新な朝ドラにしようと考えるあまり、奇をてらいすぎたのではないか。

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