“強制送還”の京田陽太は立浪中日に必要なのか 他球団の編成担当が動いたという情報も

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不在による悪影響も

 立浪和義監督が就任し、巻き返しに期待がかかる中日。現在(5月22日試合終了時点)ではBクラスに沈んでいるものの、投手では高橋宏斗、野手では石川昂弥、岡林勇希などの台頭もあり、将来に向けて明るい材料は少なくない。ただそんなチームにあって苦しい立場となっているのが、京田陽太だ。【西尾典文/野球ライター】

 1年目には球団の新人最多記録を塗り替える149安打を放ち、新人王を獲得すると、その後もショートのレギュラーとしてプレーし続けてきたが年々成績は低下。今年も開幕から調子が上がらず、5月4日のDeNA戦では立浪監督から「戦う顔をしていない」という理由から、試合中に二軍降格を通達され、名古屋に強制送還されてしまった。二軍降格後も本職ではないセカンドとして1試合出場したのみで、下半身の張りを訴えて戦線を離脱。目立った活躍を見せることができず、一軍復帰はまだまだ先となりそうだ。

 打率.157と低迷するなど、今年のプレーを見れば致し方ないという声も多いが、京田の不在による悪影響は確実に出ている。5月18日のDeNA戦では今年初めてショートの守備に入った根尾昂がツーアウト満塁のピンチから捕球したボールを握り直して送球することができずに勝ち越しを許し(記録は内野安打)、チームは接戦を落とした。また、21日の広島戦では8年ぶりにショートを守った高橋周平がいきなりタイムリーエラーを犯している。スポーツに“たら、れば”は禁物だが、いずれも京田が守っていれば、失点を防ぐことができた可能性は高いだろう。

球界トップクラスの守備力

 そもそも京田の守備力に関しては、セ・リーグはもちろん球界でもトップクラスであることは数字が物語っている。過去5年間でショートとしての補殺数(2019年、2020年)と守備率(2018年、2019年)は2度リーグ1位の数字を記録。セイバーメトリクスで守備力を総合的に示した指標として知られる「UZR」でも、毎年高水準の数字をマークしており、昨年もセ・リーグでトップとなっている(DELTA社 1.02 ESSENSE OF BASEBALLより)。184cmの長身と脚力を生かした守備範囲の広さはもちろんだが、細かいステップワーク、安定した送球なども一級品だ。今年で28歳という年齢を考えても、まだあと数年間はトップレベルを維持できる可能性は高い。今年は、攻守に精彩を欠いていたことは確かだが、二軍で塩漬けにしておくにはあまりにも惜しい選手である。

 さらに不可解なのは、京田が二軍降格となってからの選手起用だ。5月5日以降、中日のショートでスタメン出場した選手を調べてみると、三ツ俣大樹が13試合、溝脇隼人が2試合となっているが、今シーズンの成績は三ツ俣が打率.231、溝脇が.250と決して芳しいものではなく、守備についても、京田に匹敵するような活躍を見せているわけではない。また、三ツ俣は今年で30歳、溝脇は28歳で京田とほぼ同世代だ。

 チームの将来を考えて、再びショートに挑戦している根尾や、高卒2年目の土田龍空を使うのであれば、まだ理解できるが、バックアップ要員と言える選手をその場しのぎで起用しても、チームが大きく変わることはないだろう。

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