バイデン大統領に問いたい「米国は有事に日本を守るのか?」 日米安全保障条約に秘められた“問題部分”とは

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周到に、慎重に、義務を回避

 それではオーストラリアの人々はANZUS条約の第4条が米国のオーストラリア防衛義務を定めていると信じているのでしょうか?

 1831年にオーストラリアで創刊され、南半球で最も長い歴史を誇る新聞「シドニー・モーニング・ヘラルド」は2020年1月26日、「オーストラリアが攻撃されたら米国はオーストラリアを防衛するだろうかと私は問うた。その答は粛然たるものである(I asked would the US defend Australia if we were attacked? The answer is sobering)」と題する長い論説を掲載しました。

 その論説の結論を日本語訳して引用します。文中の「オーストラリア」を「日本」へ、「ANZUS条約」を「日米安全保障条約」へ置き換えると、そのまま私達が求めている答になります。

〈もしオーストラリアが軍事攻撃されたら、米国人は血と富とを犠牲にしてでも助けてくれるのだろうか? これは米国との同盟を議論する時にオーストラリア人の心の中にいつも宿る疑問であり、お行儀が良い人々の間では大声で問われることが滅多にない疑問である。しかし、私達は問わなければならない。国家の独立、国民の生存は、ある日、その答に左右されてしまうかもしれない。ANZUS条約はその問に答えるものではないのだろうか? 違う、そうではない。ANZUS条約は周到に、慎重に、行動へのいかなる確固たる義務(commitment)も回避している〉

デイリー新潮編集部

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