「札束を抜き取る女」が波紋、ギャラ飲みはいかにして生まれたのか “発祥の地”の店主が語る知られざる歴史

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勝手に伝票を書く女性も…

 顔の見える常連と女性を繋げていた当初ならいざ知らず、メンバーが膨れ上がった現在では、グループで案件が成立したところで、青木氏にメリットはないに等しい。

「僕にはそのグループで一切儲けはありません。それでも一応の管理者で居続けているわけは、知っている子、あるいは人づてに女の子からの感謝が聞こえてくるからです。『これで普通の生活できるようになりました』『仕事がなくて困ってたんです。本当にありがとうございます!』って」

 もっとも、こうした新しい文化が誕生するときは、世の需要があって、同時多発的に生まれるものである(ギャラ飲みを文化と言うには大げさかもしれないが……)。青木氏のBARが発祥の地のひとつであることは確かだろうが、唯一の場所ではなさそうだ。

「他の水商売の店とかもお客様の要望に応えるためにギャラ飲みグループ作り始めて、今は数を把握できないですからね。大所帯じゃなく、小さなグループでやってるところも多いですから。いまやギャラ飲みのアプリまでどんどん出てきてますからね。先日、そのアプリの大手に国税が入りました。自動で投稿が消え足跡を残さない、海外製のアプリでグループ作るところも出てきました」

「テレグラム」を使うグループが出来たり、「シグナル」を使ったグループがあったり……それぞれ何百人単位の女性が参加しているようだ。だが、複数のグループに重複して参加している女性が多く、実際にギャラ飲みの女性が何人いるのかを調べるのは不可能だろう。

 人が集まれば集まるほど、トラブルが起きやすくなるのは当たり前のこと。窃盗は起きるべくして起きたといえる。青木氏も嘆く。

「どんどん『手癖が悪い』『常識がない』女の子が増えていますね。お客さんの財布からお金をスるのもそうだし、お客さんから直接お金を貰えないから、勝手にお店の伝票に追加料金を書く女の子も出てきました(※酒席の売り上げの何割かをギャラとして受け取る案件もある)。そんなことされたら、ボッタクリの店というイメージついちゃうじゃないですか。そんな恩を仇で返す、自分のことしか考えられない、そうやったらどうなるかの想像もできない子が多いです。一応、プロフィール上は育ちも良くて大卒の子たちが、ですよ」

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に入り、様々な業種を経験。23歳で引退し、作家に。近著に『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』ほか、主な著作に『売る男、買う女』『東電OL禁断の25時』など。Twitter: @muchiuna

デイリー新潮編集部

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