50歳で真打昇進! 春風亭柳雀が語る37歳での入門 前職はIT系のエリートサラリーマン
「人生100年時代」という現代。ならば50歳は人生の“折り返し地点”といえそうだが、その節目で真打昇進を果たした落語家が。5月1日から都内で「真打昇進披露興行」に臨んでいる春風亭柳雀(りゅうじゃく)である。
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「真打は落語家としての本格的なスタートといわれますが、私の場合は仲間から“スタートじゃなくてゴールですよね”なんていじられてます」
頭をかきつつ語る柳雀だが、師匠の瀧川鯉昇(りしょう)(69)の門を叩いたのは実に37歳の時。斯界では20代での入門がほとんどで、30代も後半に入ってからの弟子入りは珍しい。
前職は、全国的な知名度を持つ大手IT企業の子会社に勤務するエリートサラリーマン。退職前には、複数の部下を持つ主任という立場にあった。
「仕事はインターネットを通じた音楽の配信サービスをはじめ、クラウドシステムの導入からサポートなどでした。当初は派遣社員でしたが、仕事に慣れて正社員として採用されると、寄席や落語会に通う余裕が出てきまして。次第に部下も任されるようになりましたが、OBとして母校の大学の落研で高座に上がったりしているうちに、落語への思いがよみがえってきたんです」
「人生が決まってしまう、これはヤバイ」
背景には、将来的なサラリーマンとしての人生に対する危機感があった。
「“主任の次は課長かぁ”なんて考えると、“人生が決まってしまう。これはヤバイ”と焦りまして。落語への未練もありましたし、それなら“やりたいことをやらないで後悔するより、やって後悔する方がいい”と思い至ったんです」
そもそも学生時代は、4年にわたって落語の修業に励んだそうだ。
「落語芸術協会会長の春風亭昇太(62)が在籍していた、東海大の落語研究部の所属でした。当時は落語家にとの夢もありましたが、芸達者な先輩が普通に会社員として就職していく姿を見ていると、自分でも決心がつかなかった。覚悟が足りなかったんでしょうね」
そのせいか、卒業後はほとんど落語に接する機会はなくなった。が、やがてサラリーマン生活に行き詰まりを感じ、再び思いに火がついたというワケである。
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