元気な高齢者は「外出自粛」をしていない? 専門家が語る「中高年の生き方」三つのタイプ

ドクター新潮 健康 長寿

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加齢によって衰える前頭葉

 脳の機能の中でも加齢によって最も衰えるのが、感情をコントロールし、人の意欲を司る前頭葉であり、前述したような「外に出ることがおっくうだ」と高齢者が感じる元凶だというのだ。

「一般的に前頭葉の機能は40代、50代から低下し始めて、人として新しいことに取り組む意欲や創造性が失われていきます。それが本格的に顕著となるのが60代からなので、よく日本人は定年後になかなか新しいことに取り組むのが苦手などといわれるわけです。日常の暮らしでも、いつも同じ作家の同じような論調の本にしか手を伸ばさない。せっかく外食しても同じジャンルの店ばかり、行きつけのところしか行かないなど、新しいことへの対応力が低くなっていると感じれば、それは前頭葉が衰えている証だと思って下さい」(同)

あえて「逆張り」の思考をしてみる

 そうした状況を打破する方法は、はたしてあるのだろうか。最も重要なのは、「普段と違うものに触れてみること」だとして、和田氏はこう話す。

「前頭葉は人間の創造性を司るので、ちょっとした冒険を暮らしに加えると、コロナ禍でさび付いた心身を復活させるカギになると思います。たとえば、普段の散歩コースを変えてみたり、自粛続きである程度の蓄えが貯まった方なら、思い切ってこれまで行ったことのない場所へ遠出をしたり、知らないお店に足を運んでもいいと思います」

 さらには、家で過ごす際にもこんなヒントがある。

「テレビのニュース番組を受け身で流すばかりでなく、あえて『逆張り』の思考を課して観るのはどうでしょうか。ウクライナに関する報道では、大抵のコメンテーターが“ロシアはけしからん”と話していますが、自分なら“プーチンにも良いところがあるのではないか”と考えてみる。お昼のワイドショーなどは、ゲストで呼ばれた芸人までもが一様に長いものには巻かれろ的な同じ話をしていますよね。私からすれば“前頭葉が老化しているな”と思ってしまいますね」(同)

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