元気な高齢者は「外出自粛」をしていない? 専門家が語る「中高年の生き方」三つのタイプ

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「明暗を分ける境目」

 心療内科医、循環器医で大阪大学大学院人間科学研究科未来共創センター招聘教授の石蔵文信氏は、

「元気なお年寄りとそうでない人を診て思うのは、コロナに対する気構えの差が大きい。過度に自粛を続けて己の免疫機能が下がれば、別の病気を発症し、寝たきりとなればコロナに感染するよりも人生の損失度合いが高くなってしまいます。コロナ禍以降、身体機能が弱って階段で転びやすくなったとか、家でじっとしていたら物忘れが激しくなってしまい、ご家族に連れられて診察を受けに来る方が増えました」

 そういった患者であっても、外の風にあたれば劇的に変わることもあるそうだ。

「自宅にいた時には受け答えもおぼつかなかった患者さんが、付き添いのご家族も驚くほどハッキリと喋るようになるんです。私たち医師の間では“線がつながる”なんて呼ばれる現象ですがね。刺激のない生活を送っていた人が、皮肉なことに通院という環境の変化をきっかけに認知機能が活性化するのです。コロナ禍で認知機能の衰えを訴える人は増加傾向にあり、施設も空いた端から埋まっていく。認知機能の衰えは、人との交わりなどを活発にすればある程度は予防できますから、まだまだ自分の意思で行動できる70代半ばまでの方は、動ける今のうちが今後の人生において明暗を分ける境目だと自覚して、できるだけ外出して足腰を鍛え、他人と交わることを勧めます」(同)

基礎疾患がなければ外出を

 実際のところ、日本人の平均寿命(2020年統計)は男性で81.64歳、女性87.74歳で世界でもトップクラスを誇るが、心身ともに健康でいられる「健康寿命」(19年統計)はといえば、男性72.68歳、女性75.83歳と大きな隔たりがある。これを前出の和田氏が解説するには、

「平均寿命と健康寿命の差は男性で約9年、女性で約12年ありますが、それは病気や認知症などで医療・介護に依存しないで自立して生きる平均期間を表しています。充実した70代、80代を過ごせるかどうかは、いかにこの期間を元気で生きるかにかかっているのです。ワクチンの3回目接種を終えた人は、65歳以上に限れば87%に達しますから、基礎疾患をいくつも抱えていなければ、どんどん外出して足腰を使い、他人とコミュニケーションをとることで脳を活性化させる機会を持っていただきたいと思います」

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