編集者・稲田浩がアイデアをプールで考える理由 水泳中の「動的な瞑想状態」とは
苦痛以外の何物でもなかったスイミングスクール
洋楽誌「rockin’on」の副編集長やカルチャー誌「EYESCREAM」の編集長などを経て、2016年にフードカルチャー誌「RiCE」を創刊させた稲田浩氏。多様なアイデアで情報を発信し続ける稲田氏が、その発想の源泉として挙げるのは?
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プールが好きだ。POOLと英語で表記したときの字面もかわいくて素敵だと思う。
思えば小学生の頃、親の指示により毎週通わされたスイミングスクールは、苦痛以外の何物でもなかった。スクールに通う日が近づくにつれ毎週いつも気が重くなり、その分終わって出るときの解放感も格別だった。スパルタというほどではないにしろ、なかなかにハードなカリキュラムだったと記憶する。
そんな苦い思い出とともにあるプールだが、いつの頃からか人生の相棒ともいえる存在に様変わりしていた。プールにはそれぞれに個性がある。大きめから小さめ、競技用に遊戯用までといろいろあるが特にこだわりはない。特定のプールではなくプール的なるもの。むしろ概念としてのプールが好きなのかもしれない。
動的な瞑想状態
「A LONG VACATION」(大瀧詠一の名盤)のジャケットで有名な永井博のイラストのように、ある種理想化されたリゾート地のプールももちろん好きだ。かつて南の島で過ごした休日のホテルには、必ずそんな素敵なプールがあった。晴れ渡った空の下、仰向けに浮かんでヤシの木などの景観に縁取られた360度の青空を独り占めしているときほど幸せを実感したことはない。きっとそんな感じでプールにぷかぷか浮かんでいるときに、自分にとってのプールへの価値観がぐるっと反転したのだろう。
ここ数年はおよそ週に2回、近所にある区民プールで1キロを小一時間ほどかけてゆっくり泳ぐようにしている。肩まで水に浸かると、体重はほぼ10分の1まで軽減されるという。重力からの解放とともに身体が浮揚する。スイングするようにリズミカルに腕を振って前へ前へと泳ぎ進めていくと、日常の雑事が洗い落とされて後方へ押し流されていくようだ。
動的な瞑想状態とでも言うのだろうか。ただぼんやり、考えるとも無しに思いを巡らせながら水面をゆったりと泳いで進む。普段かけている近視眼鏡を外して裸眼にゴーグルのため、周囲の様子はぼんやりとしか見えていない。余計な情報が遮断されたフィルターバブルの中にいる。適度な運動としての負荷もあって、意識はクリアでありながらフローに。そんな時、フワっとアイデアが湧いてきたりする。
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