東洋建設TOBで甦る「前田建設」と「前田道路」の仁義なき「親子喧嘩」 訃報とともに号砲
葬儀翌日
再建を果たした前田道路の「中興の祖」と言えるのが、岡部正嗣名誉会長。前田建設の副社長から前田道路へ転出。社長、会長を歴任し、15年から取締役名誉会長として実権を握り続けた。そして心不全のため81歳で他界したのは、20年1月9日のことだった。
前田道路の幹部によれば、
「名誉会長は前田建設の創業者である前田又兵衛の次女と結婚し、現在の前田操治社長は義理の甥に当たります。つまり、前田一族に属する人物なのですが、前田道路の経営は自主独立を貫きました。前田建設からの仕事をあえて増やさず、売上に占める割合を1%以下に抑えた。なおかつ、自身の後継者には前田建設からの天下りではなく、プロパー出身の社長を起用するという道筋もつけたのです」
要するに、“親からの独立”を進め、両社の親子関係はかねてから冷え切っていたのだ。岡部名誉会長の通夜、葬儀は1月18日から19日にかけて執り行われたが、その直後の20日、前田社長がわざわざ前田道路に出向き、直接、TOB開始を宣告したのである。
「週刊新潮」2020年2月20日号「MONEY」欄の有料版では、かつての身内同士のバトルについて詳報する。
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