【追悼】渡辺裕之さん、俳優業でもゴミ拾いでも貫いた「完璧主義」

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 俳優・渡辺裕之さん(享年66)の突然の死を惜しむ声はいまも絶えない。週刊新潮にも度々登場して趣味や私生活を語ってくれた渡辺さんの「肉声」を通して、改めて、その歩みを振り返る。

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 渡辺さんの死について、所属事務所は5月5日、「自宅で縊死致しました。5月3日昼頃に、ご家族により発見されました」と発表した。

 関係者によると、神奈川県内にある自宅の地下のトレーニングルームで倒れた姿で見つかったという。

 訃報を聞いた時のショックを、渡辺さんと親交のあったテレビ局関係者はこう話す。

「打ち上げや懇親会には必ず顔を出すなど、すごく気さくな性格でした。一方でドラマ撮影時など、事前にセリフを頭に入れていて、現場に台本は持って来ない。結果、NGもほとんど出したことがない“完璧主義者”の一面も持っていた。そのストイックな生真面目さが渡辺さんを追い詰めたのでは……との考えが頭をよぎりました」

 10日、“おしどり夫婦”として知られた妻で女優の原日出子さんが明かしたところでは、コロナ禍が長引くにつれ、塞ぎがちになった渡辺さんはいつしか〈「眠れない」と体調の変化を訴えるようになり、自律神経失調症と診断され、一時はお薬を服用〉していたという。

ゴミ拾いのきっかけは朝のジョギング

 渡辺さんを一躍有名にしたのは82年に出演した大正製薬「リポビタンD」のCMにおける「ファイトー! イッパーツ!」の雄叫びだ。以降、11年間にわたって同CMに出演し、渡辺さんの知名度は全国区に。同時期、映画やドラマにも活躍の場を広げ、鍛え上げられた肉体を武器にアクション俳優としての地位も確立した。

 肉体鍛錬と体調管理に余念のなかった渡辺さんが、毎朝の日課となるスロージョギングを始めたのは09年。

 その理由を〈肥満の友人が心筋梗塞で倒れて、自分もこのままじゃいけないと思ったのが始めたきっかけ〉(「週刊新潮」17年3月2日号)と話した。

 渡辺さんが「夢拾い」と呼んで死の直前まで続けていたゴミ拾いも、この朝のジョギングが生んだものだった。

〈(朝)走り始めたら、何だか放り棄てられているゴミが気になり出した。(中略)最初はコンビニ袋だったけど、とても入りきらない。45リットルのゴミ袋をウェストバッグに入れ、軍手では屈まないといけないから、トングを持ってジョギングついでにゴミ拾いを始めたんです〉(同)

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