知床遊覧船、捜索費用の数十億円を国が負担か 元船長が新たな“不正”を証言
「逮捕もあり得る」
今から40年前の1982年、東京都・赤坂にあった、部屋数500を超える「ホテルニュージャパン」で火災が起き、宿泊客ら33名が亡くなった。この惨事では、スプリンクラーほか消火機器の設置を怠るなどの過失責任を問われた横井英樹社長が逮捕され、業務上過失致死傷罪で禁錮3年の実刑判決を受けている。
当時、警視庁捜査1課長だった故・田宮榮一氏は、
「あの時、横井だけはなんとしても逮捕しなければ遺族、国民が納得できないとの思いで懸命に捜査にあたった」
と、生前よく語っていた。
逮捕とは言うまでもなく、逃亡や証拠隠滅の可能性を考慮して行われるものだ。しかし、田宮氏の発言は、当局が事案や被疑者の「非道さ」と国民感情を時に考慮に入れ、身柄の取り押さえに及ぶことを示している。
今般、果たして桂田社長は逮捕されることもないのだろうか。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、以下のような見解だ。
「海で起きる海難事故は、車の衝突事故と違って痕跡が残りにくい。たとえば船と船が衝突したとしても、どこでぶつかったのか位置を特定することすら困難で、陸の事故に比べ、そもそも捜査が難しいという事情があります」
ただし、と続ける。
「ある程度、過失責任を立証するための証拠を固められ、検察庁がゴーサインを出せば、社長が逮捕されるということもあり得ます」
遺族の心情は、それでも癒えることはあるまいが。
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