知床遊覧船、捜索費用の数十億円を国が負担か 元船長が新たな“不正”を証言
借金のせいで辞められず
「普段から事務所にほとんど顔を見せなかったし、船の運航にもほとんど関心を持っていなかった。興味があったのはお金儲けのことだけだよ」
と語るのは、かつて「知床遊覧船」で勤務した経験のある元船長。
「(KAZU I船長の)豊田は社長の父親に多額の借金があったんだ」
というのである。桂田社長の父親とは、地元・斜里町で町議をつとめた桂田鉄三氏。かの地では名士として知られている。
「豊田はなんでも“事業で失敗した”とか言っててね。“早く辞めたい”とぼやいてはいたけど、借金のおかげで辞められなかった」
元船長によると、豊田船長は“売り上げノルマ達成”のため、荒天下でもよく船を出していたそうだ。
「我々は出航前、ウィンディというシステムで風の強さや波の高さの予報を確認し、その情報を同業者とのグループLINEで共有する。どこか一社でも今日は出航を中止すると判断すれば普通、他社も船は出さない。だけど、豊田船長は度々、出航を強行していた」
いつも“赤字だ”と
また「知床遊覧船」の別の関係者もこう言う。
「桂田社長はいつも“赤字だ”と嘆いていました。社員が今年の初め、会社に事務所のアンテナが壊れていると報告したのに、そのまま放置された。お金を節約したかったからでしょう」
昨年、桂田社長はある従業員に解雇を通告したが、その際、一方的にLINEを送りつけて済ませている。
〈優等生のクラブツーリズム(本誌(「週刊新潮」)注・高級路線の旅行会社)ですら債務超過に至る状態で 観光はご存知の通り壊滅状態です〉
〈●●さんを今年4月から雇い入れすることができません。(中略)観光業以外で働かれることを 強くお勧めいたします 大変お世話になりました ありがとうございました〉
桂田社長の知人が明かす。
「社長には今の奥さんとの間に3歳と2歳、そして生まれたばかりのお子さんがいて、全員女の子です。さらに5、6年前に別れたジャズピアニストの女性との間にも息子がいます。彼はすでに成人してますが、今も社長から金銭面で援助を受けているという話もありまして……。社長はいくらお金があっても足りなかったのではないでしょうか」
つまりは公私双方で金銭的に逼迫し、それがために観光船事業にもしわ寄せが及んだのではないか、とも考えられるのだ。
[3/6ページ]