知床遊覧船、捜索費用の数十億円を国が負担か 元船長が新たな“不正”を証言

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 事故に責任を負うべきその社長は、会見の場で3度も土下座をしてみせた。合計21秒。なかなかの長さではあろう。が、冷たき北の海に投げ出された人々の、絶望の時間に比べれば……。叩頭も虚しく映る社長はよもや、当局のお縄にかかることさえないのか。

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 オホーツクの海に沈んだ船「KAZU I(ワン)」の運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)がようやく記者会見に臨んだのは、事故発生から5日目の4月27日。

「自然現象なので、天気図が常に正確に当たるわけではない」「事故の原因はわからない」

 これらの言葉が開き直りやシラを切っていると受け取られたのにはワケがある。「知床遊覧船」の“航行の安全”に対する意識の低さを示す証拠や手抜かりが、いくつも露呈していたためだ。

 昨年、KAZU Iは座礁事故を起こしていた。船首にも亀裂があった。船と通信するための事務所のアンテナが破損し、無線は使えない状態だった。代わりに携帯でやりとりするはずが、船長の契約するauでは、航路の大半で電波が届かなかった――(このため実際、船長は事故当時、乗客の携帯を借りて海保にSOSを伝えている)。

 社会部記者も言う。

「社長は、船の運航に関する最高責任者である“安全統括管理者”で、陸上から運航を管理する“運航管理者”も兼務していました。海上運送法により“運航管理者”は事務所に詰め、船長からの連絡を受けていなければいけなかった。なのに、社長は不在でした。出産を終えた奥さんの退院日で、そのお迎えに行っていたというのです」

「逮捕はない」と語っているとの情報も

 乗客・乗員26名を巻き込んだ海難事故。海上保安庁は桂田社長と、今なお行方不明の豊田徳幸船長(54)に対し、業務上過失致死容疑ですでに捜査に乗り出してはいる。だが、事故から2週間以上が経過しても、別段、桂田社長は行動を制限されているふうもない。要は「自由」の身なのである。

 先般、検察OBが「海上運送法違反だけだと書類送検にとどまるだろう」、つまり逮捕は困難だとネット上で発信したことも注目を集めた。これでいいのか。

「もちろん、海保も遊んでいるわけではないんです。運航会社を家宅捜索していますし、社長にも事情聴取を始めている。ただ、立件は簡単ではありません。特に問題となるのが、社長に事故を予見できたのかという点。そのことを立証する証拠を集めるのは容易ではないと見られます」

 とは先の社会部記者。

「社長は、自身が海上運送法の違反のみを問われ、書類送検にとどまることもあり得ると見ているのでしょうか、周囲に対して“逮捕はない”と語っているとの話も漏れ伝わってきます」

 しかし、安全についての責を負う者は、桂田社長をおいて他に誰がいるというのだろう。以下の証言の数々を聞けば、もし彼が社長の座になければ、こんな事態に至らなかったのではないかとの感を強くする。

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