「ウクライナが日本に感謝を示さない」と怒る日本人の心理 識者は「今後も同じ議論起こる」

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常に同じ議論

「Show the FLAG」は、単純に「旗幟を鮮明にせよ」と訳すべきという意見も根強いが、少なくとも当時の日本では「顔の見える貢献をせよ=金ではなく人を出せ」と要求されたとの解釈が圧倒的だった。

 ちなみに、アーミテージ氏は「Show the FLAG」とは発言しなかったという証言もある。未だに真相は藪の中だ。

「しかし『Show the FLAG』発言が日本に与えたインパクトは相当なものがありました。同時多発テロ後、海上自衛隊がインド洋に派遣され、アメリカなどの“対テロ戦争”で給油という“国際貢献”を果たしました。更に2003年、陸上自衛隊がイラクに派遣され、戦後の復興、特にインフラ整備で支援を行いました」(前出の記者)

 90年代以降、日本人は事あるごとに「真の国際協力とは何か」という問題で激論を戦わせてきた。

 今回の「ウクライナ感謝リスト問題」も、往時のPKO問題に比べれば社会的反響は小さいかもしれない。だが、根っこは同じだろう。

「どれだけ議論しても、国際貢献について理解が深まったり、コンセンサスが得られたりすることはないと思います。今回のウクライナ支援でも、武器と見なされてもおかしくない物品が含まれているとされ、実質的に『武器輸出三原則』が見直されたのではないか、とも指摘されています。こうした議論も昔から行われてきました」(前出の佐瀨氏)

変わらない日本人

「武器と見なされてもおかしくない物品」とは、具体的には民生用ドローンだ。日本政府は「民生品なのだから武器ではない」という理屈で押し切ったが、ウクライナの戦場では実質的に兵器として使用される可能性がある。

「賛成する人、反対の人、意見は様々でしょうが、防衛省が努力を重ねたのは事実だと思います。しかし、それで日本人の意識や議論が変わるのかといえば違います。ウクライナが感謝を示さなかったということから、昔と変わらない『国際貢献とは何か』という議論が起きました。きっと日本人は、これから何年たっても、同じ議論を繰り返すのかもしれません」(同・佐瀨氏)

デイリー新潮編集部

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