毎日ワインを飲む人は認知症リスクが約5分の1に 品種、産地の選び方は?
ピノ・ノワールの優れている点は?
〈掲載のグラフの真ん中より下辺りにある「サヴィニー・レボーヌ’89 」は、ピノ・ノワールを使って作られた赤ワインである。ピノ・ノワールは、活性酸素消去能ではカベルネ・ソーヴィニヨンなどに及ばないが、ある特定のポリフェノールの含有量に関しては、他のブドウ品種よりも多い。そのポリフェノールとは、レスベラトロール。ちなみに、フランス・ブルゴーニュ産の最高級ワイン「ロマネコンティ」も、ピノ・ノワールから作られている。〉
ピノ・ノワールはカベルネ・ソーヴィニヨンなどに比べてブドウの果皮が薄い、という特徴があります。ブドウはカビが生えてしまうとすぐに病気になってしまうため、自分を守るために抗カビ成分を一生懸命に作ります。その抗カビの役割を担う成分がレスベラトロールなのです。ピノ・ノワールに含まれるレスベラトロールはカベルネ・ソーヴィニヨンの約10倍です。
サーチュインを活性化
赤ワインに含まれるレスベラトロールが注目されるようになったのは、「フレンチ・パラドックス」が報告された92年頃から。強力な抗酸化力を持ち、長寿遺伝子(サーチュイン)に直接働きかける「若返りと長寿の成分」として研究が進められています。
サーチュインは99年に酵母菌で発見され、後に全ての生物が持っていることが分かりました。サーチュインは普段はOFFになっていて、カロリー制限をするなどして飢餓状態に陥った時にONになります。ところが2003年、ハーバード大学のデービッド・シンクレア博士の研究チームは、レスベラトロールが酵母菌のサーチュインに直接作用し、活性化させることを突きとめ発表しました。研究チームは、レスベラトロールの作用により、酵母菌の寿命を70%延ばすことに成功。カロリー制限とレスベラトロール摂取がほぼ同様の長寿効果をもたらすことを確認したのです。
この効果は人間と同じ哺乳類であるマウスでも確かめられました。研究チームは、高脂肪・高カロリー状態のマウスにレスベラトロールを投与すると、カロリー制限をしていないのにサーチュインが活性化され、寿命が延びたという論文も発表しています。
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