毎日ワインを飲む人は認知症リスクが約5分の1に 品種、産地の選び方は?
ヒポクラテスも「薬の中でワインは最も有益」
ただ、ワインの健康効果ははるか昔から知られていたようで、紀元前5世紀頃のギリシャの医師で「医学の父」と称されるヒポクラテスはこう述べています。
「薬の中でワインは最も有益であり、薬効をもつ溶剤として用いられ、傷薬にもなる。赤ワインは成長に役に立つ。白ワインは肥満防止に良く、利尿効果が最も高い」
ワインに含まれるカリウムがナトリウム排出を促す、要するに利尿効果があるのは事実で、紀元前にそれに気づいていたわけですからすごい話です。
〈「フレンチ・パラドックス」(フランス人の逆説)という言葉を聞いたことがあるだろうか。フランス人は動物性脂肪の多い食事をしているにもかかわらず、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患による死亡率はそれほど高くない。フランスの科学者、セルジュ・ルノー博士は、一見矛盾するこの状況、すなわちフレンチ・パラドックスは、フランス人が大量に摂取するワインによるものではないか、と考えて研究を行った。1992年、同博士が研究結果を発表すると、世界中にワインブームが広がった。〉
赤ワインはコレステロールの酸化を防ぐ?
それ以降、赤ワインの健康効果に関する論文の発表が相次ぎました。例えば、米カリフォルニア大学デービス校のフランケル博士らは、赤ワイン由来のポリフェノールを、同じく抗酸化能力を持つビタミンEと比較。ワイン由来のポリフェノールが、ビタミンEの半分の濃度で、動脈硬化につながるLDLコレステロールの酸化を防ぐ、との研究結果を発表しました。同様の研究は日本でも行われました。国立健康・栄養研究所が行った実験では、ボランティアに赤ワイン約500mlを食事中に毎日、2週間摂取させ、血中のLDLコレステロールが酸化するまでの時間を計測。その結果、赤ワインを飲用した人は、飲まなかった人に比べ、LDLコレステロールが酸化するまでの時間が有意に延びた、との結論を導き出しています。
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