IKKOが明かす「パニック障害」との付き合い方 「大変な時はだらしなく生きて」
美容家、タレントとして活躍するIKKO(60)。明るいキャラクターで知られる一方、30代でパニック障害を発症した過去がある。病気と闘う中で見えてきた「病との付き合い方」を本人が語ってくれた。
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【写真2枚】30代の頃の「IKKO」 仕事に追われてパニック障害を発症した
早鐘を突くように異様なほど鼓動が高鳴り、破裂せんばかりに後頭部が一気に張り始め、息苦しさと吐き気がとめどなく襲ってくる。身体は小刻みに震え続けて止まらない。
どうにか病院にたどり着くと、私はもはや自力で立っていることすらできませんでした。そして血圧は230にまで上がっていました。
忘れもしません。それは今から21年前、私が39歳だった年の11月29日のことでした。その日から、パニック障害という地獄の生活が始まったのです。
前兆はその4、5年ほど前から感じていました。30歳になって事務所「アトリエIKKO」を立ち上げ、自分でもヘアメイクの仕事をしながら、同時に弟子も育てるという生活を送っていました。
弟子を一人前にしなければならない責任とプレッシャー、また連日睡眠時間4時間ほどという慌ただしさ。そのストレスからか、夜寝ていると突如息苦しくなり、自宅のマンションを飛び出して、外の空気を吸ってゼイゼイしながら息を整えるといったようなことが年に1、2回あったんです。そしてついに無理が限界に達したのでしょう。39歳の時にパニック障害を発症したのです。
毎晩のように救急病院に駆け込む日々
当時付き合っていた彼と一緒にいるうちは平気なんですが、ひとりになると急にパニックが襲ってくる。
「もし今発作が起きたら誰も助けてくれず、死んでしまうのではないか」
そんな不安から、息苦しさや震えの発作が始まってしまい、毎晩のように救急病院に駆け込んでいました。不安によって起きる私の発作は、病院に着くと不安が解消されるので収まる。すると病院の方はこう言う。
「精神科に通ったほうがいいんじゃないですか」
仕方がないこととはいえ、外傷があるわけでもなく、レントゲンを撮ったところで分からないパニック障害のことはなかなか理解してもらえませんでした。
発症してからは、すぐには車から降りられない高速道路がつらくなり、新幹線や飛行機にも乗れなくなりました。夜もひとりで家にいると不安に苛(さいな)まれるので、ずっとテレビをつけて、深夜になっても通販番組を流しっ放しにしていました。テレビの音を耳にしていると、何だか話しかけてもらっているように感じられて症状が和(やわ)らぐんです。
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