肝臓・胆道・膵臓の「難治がん」との賢い闘い方2 「名医ランキング」の功罪と病院の選び方
医師と患者の関係の根底にあるもの
進藤:そうですね。手術というのはある程度手順が決まっているものですから、一定の経験を積んでいる外科医であればそこまで成績に差はないというのが真実です。一方で臨床のポリシーやスタイルは医師ごとに大きな違いがありますので、難治がんの「克服」をゴールとして考えた場合、手術を完遂することだけではなく、その先まで見据えた治療戦略をどう考えるかによって患者さんの運命が決まってしまうことはあり得ます。
患者さんの立場に立てば有名な医師に執刀してほしい、名医に執刀してほしいという気持ちにはなるのは自然だと思いますが、がんの治療は治るとしても長丁場であり、手術をすれば終わりではありません。その医師を信頼し、一緒に病と闘っていきたいと思えるかどうか、そちらの方がはるかに重要です。ランキング本というのはあくまで病院選びの参考となる一定の目安を示しているに過ぎず、主治医の選び方は、実際に会って話してみて、その先生に自分の命を本当に任せられると思うかどうか。そこが最も重要なポイントだと私は思います。
いつも一般向けの講演などでは話すのですが、医師と患者の関係の根底にあるものは「信頼」に他なりません。肩書や数字が治療をするわけではないし、大場先生も元は外科医ですから同じだと思いますが、外科医であれば誰でも自分の患者さんには最高の手術をしたいと思うわけです。その自信と覚悟がなければ執刀医としての資格はありませんし、そういう医者に会えるかどうか、そういう医者と信頼関係を構築できるかどうかが本当の「患者力」だと私は思います。
大場:「がんの治療は治るとしても長丁場であり、手術をすれば終わりではない」――。まさにその通り。テレビドラマで人気の天才外科医・大門未知子のように、失敗しない「神の手」など虚像であることがよくわかります。この対談企画が進藤先生のいう患者力を養うための一助になればよいですね。
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