肝臓・胆道・膵臓の「難治がん」との賢い闘い方2 「名医ランキング」の功罪と病院の選び方

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内科医や非医療者が監修する「手術の名医リスト」

進藤:名医かどうかは人が決めることですのでわかりませんが、この問題はいくつかに分けて考える必要があると思っています。まず、そもそも「名医」の定義とは何かという点です。これは外科医であれば「手術が上手な先生」という意味で用いられるのだと思いますが、おっしゃる通り「手術件数=手術の腕」というわけではありませんし、大学病院やセンター病院に所属している医師だからといって手術の腕を保証されているわけでもありません。日本人は「名医」とか「ブラックジャック」とか、「神の手」とかそういうワードが好きですし、ランキング本は売れますのでいろいろな出版社から出されています。しかし、問題はその基準が明確ではないという点です。

 手術の上手さや臨床のセンスというのは、あくまで我々外科医が自分と比較したときの経験値の違い、手技の鮮やかさの違い、手技の安全性や確実性の違いを、我々自身が感じ取って初めて分かるものであり、外科手術のクオリティの評価は同じ専門の医師でなくてはできません。

 例えば乳腺(乳がん)を専門とする外科医に肝切除術の上手さは評価できませんし、私も心臓外科手術の上手さはわかりません。インターネットを検索すると名医リストを載せているサイトが多く存在していますが、内科医や非医療者が監修していてどうやって手術の腕を評価できるのか、そこは甚だ疑問に感じます。名医リストに載せてもらって悪い気はしませんが、正直なところそうした情報の信頼性はピンキリだと思います。

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