肝臓・胆道・膵臓の「難治がん」との賢い闘い方2 「名医ランキング」の功罪と病院の選び方
数は正義か?
各メディアを通じて公表されるがんの生存率や手術件数、あるいは病院ランキングなどについて、患者はどう捉えるべきか。進行した難治がんだからこそベストな治療を求めたいと考える患者は、何を頼りに病院や医師を選び、自身のがんと闘うべきか。がん治療のエキスパートである東京目白クリニック院長の大場大氏、虎の門病院消化器外科医長の進藤潤一氏の2人が語る連載の第2回――。
大場:各メディアがしばしば取り上げる企画として、手術件数ランキングがあります。手術件数という指標は、それだけ経験を積んでいる、あるいは患者数が多いということが一目瞭然の数字ですから、一般の方にとっては病院選びの重要なツールになりえるのは確かです。経験が少ない医師に診てもらいたいとは思わないでしょうから。ただ、数だけの論理ではなく「その後」も見通す必要があると思います。例えば、巷によくあるインチキ免疫細胞療法クリニックのホームページをみると、「治療件数○千件、〇万件」などと謳っていますが、その真偽のほどは別として実際の効能はどうなのか。有効性が客観的に証明できないのであれば、それは患者さんたちを騙すものでしかありません。
もちろん医学は確実なものではありませんが、患者サイドに立って考えたとき、見かけ上の数字だけでは真の評価は難しい。お叱りを受けるかもしれませんが、普通レベルの手術件数をたくさん重ねることと、進行したがんに対して難しい手術で勝負し、より良い治療成績を積み上げることとは意味が違うような気がします。これまで多くの執刀件数を重ね、「名医」としてしばしば取り上げられる進藤先生は、この点についてどう思われますか?
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