ヤクザの辞め方は2パターンある カタギになった、それぞれの辛すぎる人生とは?

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信じられない極貧生活

 Bさんを少なからず支援している知人から生活保護の申請を提案されたが、「元暴力団員の自分が保護申請をしたら、反社扱いにされて、何かの罪になって逮捕されてしまうんじゃないか?」とBさんは迷っている。

 本来なら誰でも生活保護を受ける権利はあるはずだが、実務的には、当局からの通達により保護申請が却下されてしまう場合も多く、Bさんが迷ってしまうのも頷けるところである。

 元暴力団員に対しては、たとえ日本国憲法が許しても、さまざまな書類上や社内規定によって、暴力団関係者として扱われることも多く、それが実務に反映して、もう既に暴力団から離脱している人であっても、反社会的勢力に対する規制の中に閉じ込められてしまうケースが多い。

 そのせいで、いらぬ苦労を被っている元暴力団員たちに対して、「自業自得だ」とサディスティックに言い捨てる人々もいるが、もっと現実を直視してみると、未熟な社会システムがBさんのような暴力団離脱難民を生み出している。そしてBさんは、冷暖房はおろか、夜でも自室の電気を点けずに暮らすという節約を超えた極貧生活を続けている。

“ムチ”だけで“アメ”はなし

 暴力団から離脱しても、まともな生活どころか生き地獄のような生活しか営めないことが容易く予想された場合、現役の暴力団員たちはいったい何を思うのだろうか?

 日本政府は、安価な労働力を狙ってか、日本への外国人入国者に対してさまざまな優遇処置を施して、言わばおいしいアメを彼らに見せつけているが、暴力団を離脱したい人に対しては、辞めにくい印象を持たせるばかりで、アメを一切チラつかせることもしない。

 ひょっとしたら日本政府は、暴力団を残したいのだろうか? もしくは、他に何か別の狙いでもあるのだろうか?

藤原良(ふじわら・りょう)
週刊誌や月刊誌等で、マンガ原作やアウトロー記事を多数執筆。万物斉同の精神で取材や執筆にあたり、主にアウトロー分野のライターとして定評がある。2020年に『山口組対山口組』(太田出版)を上梓。

デイリー新潮編集部

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