「女の敵は女」はもう古い? 「悪女」での好演が光る今田美桜のヒロイン像に見る希望

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職場での本音トークはアリかナシか? 男性の自己開示の難しさと今田ヒロインの新しい役割への期待

 職場では本音より建前が大事な時もある。感情をあらわにする女性は半人前。そういう価値観は根強い。「悪女」でも「職場で泣く女なんてこの世で一番嫌いだった」というセリフがあったが、本心をさらけ出すことで大団円というのは絵空事かもしれない。「だから女は感情的、仕事への意識が低い」という印象を強めてしまいそうな演出でもある。ただ涙まで見せずとも、自己開示はビジネスの場でも有用というのは確かなようだ。苦手とする男性は多いが、特に職場では「言葉より行動で示せ」「弱音を吐くなんて男らしくない」と刷り込まれてきた背景もあるだろう。

 令和版「悪女」は、オリジナル版よりもさらに、働く女性の思いに寄り添おうとする意気込みを感じる。ガラスの天井や女王蜂症候群、飲み会文化に不妊や親の介護など、話題のテーマがてんこ盛りだ。難を言えば、可愛い顔とちゃっかりした性格のギャップというヒロイン像はいいかげん古い気もするが、現状を打破するにはまだキャラクターの奔放さに頼るしかないというのもリアルである。

 副題はピンとこないものの、「女の敵は女」なんて誰が言った?という姿勢は感じる「悪女」。前作では倍賞美津子さんが演じた峰岸が、「OLはみんな田中麻理鈴よ」と希望を語るセリフがある。リバイバル版では男性社員の生きづらさにも、マリリンのような光があてられるといいなと思う。今田さんが「悪女」像も、働く男女の可能性も、アップデートしていくことを期待したい。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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