「女の敵は女」はもう古い? 「悪女」での好演が光る今田美桜のヒロイン像に見る希望

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初主演の今田美桜が光る令和版「悪女」 働く女性それぞれの葛藤と男性社員の存在感の薄さ

 中でも「悪女」の今田美桜さんが光る。明るくまっすぐで人たらし、酒豪で感情表現豊かな田中麻理鈴役を好演している。2次元キャラのような可愛らしさもマンガの実写化にぴったりで、トンチンカンに見える服装を奇跡的に成立させているのもお見事だ。よく「新入社員に来てほしいタレントベスト10」といったランキングがあるが、このドラマの今田さんは相当上位に入るのではないだろうか。

 物語はまだ序盤だが、出世を宣言するヒロインは男性社会に溶け込むのではなく、女性どうしの連帯で成長していく。2話では出世した女性、出世から外れた女性、出世より家庭を選んだ女性など、働く女性のさまざまな葛藤と関係性が描かれた。「悪女」というタイトルとは裏腹に、それぞれ事情を抱えてもがく「女の敵」たる女性たち。でも次々に本音や弱音を打ち明けあい、互いを理解しようと歩み寄る。一方男性社員は、本音を語らない。「きたきた女の修羅場」とか「前の上司はそう言ってました」とか、どこまでも自分を外野に置いて他人事という顔をしている。だから女性陣に比べ、いまひとつ存在感が薄い。

「悪女」や「元彼の遺言状」の原作では描かれているが、こと会社組織においては男性の妬みや足の引っ張り合いの方が陰湿で執念深いともいわれる。「半沢直樹」シリーズの大ヒットもあったが、「男の敵は男」の根深さと怖さを身に染みて知っている人は多いのではないだろうか。男性は本心をなかなか明かさない分、問題が見えにくく深刻化するのでは、と「悪女」を見て改めて思ったものだ。

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