女性寿司職人のパイオニア、「なでしこ寿司」店長が語る「むしろ女性がいいんです!」

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 迷信、あるいは都市伝説と言えるのかもしれない――。かつては電気街として知られ、今はアニメやアイドルの聖地となった東京・秋葉原(千代田区)に店を構える「なでしこ寿司」。女性職人だけが板場で寿司を握るこの店の千津井由貴店長がそれを証明している。彼女は「女性は寿司職人に向かない」という俗説を覆し、2010年の創業以来、カラフルな着物姿で板場に立ち続けてきた。【川本大吾/時事通信社水産部長】

デパートガールから転身

 寿司店といえば、頭をきれいに刈ったねじり鉢巻きの大将が、小気味良く整えた握りをガリとともに、そっとカウンターへ置いてくれる光景が浮かぶ。女人禁制の「男の職場」というイメージだが、なでしこ寿司は女性職人のみが寿司を握るという恐らく日本で唯一の店。今秋、オープンから12周年を迎える。

 開店当初、職人らのリーダーとして寿司を握り始めた千津井さん。美術大学を卒業後、銀座の百貨店に就職したが、一年ほどで退社。浪人時代に寿司店でアルバイトした経験があったことから、「女性が寿司を握る店」という求人広告を見て一念発起し、なでしこ寿司に再就職した。

 千津井さんは当時から「寿司職人=男性」という固定観念に違和感を覚えていた。それまで、①女性は体温が高く生魚の扱いに不向き、②生理の際に味覚が変わってしまう、といったことが「女性タブー」の理由として、まことしやかに囁かれていた。

 しかし、①はそもそも、医学的根拠が明確ではなく、②については個人差があり、むしろ男性にも不向きな要因を備えた人がいるかもしれない。そうした点に気付いたことが、彼女を奮起させたのだ。

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