大谷翔平、「HR王」ピンチ! 審判団の「不可解判定」で開幕ダッシュに失敗の裏事情

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明らかなボール球が「ストライク」に

 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平は、昨季惜しくも逃した日本人初のホームラン王を目指し、満を持して2022年の開幕を迎えたはずだった。しかし、4月の月間成績は「打率2割3分6厘、4本塁打、11打点」に留まり、昨季4月の「打率2割8分3厘、8本塁打、19打点」と比較して精彩を欠くと言わざるを得ない。その背景には、メジャーの審判団との確執があった。【津浦集/スポーツライター】

 4月25日のガーディアンズ戦の第1打席、一昨年サイ・ヤング賞投手のシェーン・ビーバーと対戦した大谷は、フルカウントから低めのボール球にバットが出かかった。傍目には止まったかに見えたが、無情にも“スイング”の判定で三振を喫した。
 
 次打席では、明らかなボール球がストライクと判定された。打順を1番から2番に変え、心機一転して臨んだこの試合でもノーヒット。メジャーリーグ解説者は、「まだ4月ですが、大谷の打席でボール気味の球をストライクと判定される光景は何度も見ました。打撃の状態が上がってこないのは不公平な判定が一因です」と指摘する。

 こうした状況は打撃にどれほど悪影響を及ぼすのか。元パ・リーグ監督経験者によれば、

「カウントが早い段階でボール球をストライク判定されれば、追い込まれることもあります。そうなるとストライクゾーンを広げて待つしかないため、多少のボール球でも振りにいかざるを得ません。結果、悪球に手を出して凡打のケースが増える。打撃は繊細なもので、ストライクゾーンがボール半個分でも違えば簡単に狂ってしまいます」

大谷をターゲットにした一罰百戒

「大谷の打席で不可解な判定が増えたのは、去年あの一件からでしょう」

 メジャー解説者がそう語る「あの一件」とは、大谷が先発登板した昨年6月11日のダイヤモンドバックス戦での出来事を指す。この試合の5回、二塁けん制の際にボークを取られた大谷は、両手を広げて「なぜボーク?」と判定に疑問を投げかける仕草を見せた。

 これが審判団の逆鱗に触れた。大谷は同じ回に2度目のボークを取られている。

「1度目も2度目もボークには見えませんでした。特に、2度目は懲罰としか思えません。日本の審判の方が技術は上ですが、メジャーの審判はより権威が強い。メジャーでは審判同士の結束も固いため、刺激するような態度は御法度です」(同)

 折しも、二刀流旋風のまっただ中。大谷は投打に常識外れのプレーで全米の注目を集めていた。

「審判団としては、メジャーの選手全体にプレッシャーをかける意味合いもあったと思います。話題を呼んでいる選手は格好のターゲット。われわれの判定に注文を付けるとこうなるぞ、と。大谷で一罰百戒というわけです」(元NPB審判員)

 審判団の“大谷包囲網”はシーズン終盤まで続いた。最終的に大谷は46本塁打を放ったが、トップとわずか2本差で本塁打王を逃した要因として、「審判を敵に回したこと」を挙げる解説者がいたのも事実だ。

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