NHK、実働4時間のスタッフに月100万円の報酬… 元記者が証言する“高給のカラクリ”

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受信料の見直しを進めるべき

 こうした高待遇と全体のサービス低下を考えても受信料は見直されるべきだ。総務省の分科会でNHKの制度改正の議論が進められているが、閉ざされた分科会にとどまらず国民的議論を進めるべきだと思う。まずNHKが国民にどれだけ必要とされているのか、こうした分科会主体でもいいので全国規模で意向調査をしてはどうか。

 今の受信料は適正と考えるか。いくらなら払ってもいいと考えるか。ひと昔前、故・大橋巨泉氏が司会を務める「巨泉のこんなものいらない」という民放番組で、最初にやり玉に挙がったのがNHKだった。最近の「NHKから国民を守る党」の台頭をみても、一定数の国民にはもはやNHKは不要と思われてしまっているのは事実だろう。

現実的な改革案は…

 私がこの書(『元記者が証言するNHK報道の裏側―NHK受信料は半額にすべき』)を通して訴えたかったことは極めてシンプルだ。ネット上で映像コンテンツがあふれる時代にあって、受信料が高く、職員も高待遇に甘んじている公共放送は見直すべきでないか。必要な番組を絞り込んで受信料負担を軽くすべきだという主張だ。

 NHKに批判的な層はスクランブル化を訴えるが、生命に関わる災害報道を契約者以外が視聴できなくていいのかなどといった課題も山積し、実現は難しいだろう。やはり災害報道などを中心に放送をスリム化し、職員の待遇もせめて一般の国家公務員レベルまで引き下げるのが現実的な改革の道筋ではないか。私が最も強調したかったのはこの点だ。

大和大介(やまと・だいすけ)
昭和39年新潟県生まれ。昭和62年、朝日新聞社入社。平成9年にNHKに転職し、新潟放送局に着任。以降、横浜局を経て水戸局などでニュースデスクを担当。平成23年に東京のネット報道部に移り、NHKのNEWSWEBサイト担当デスクを4年間務めた。平成29年に新潟放送局にニュースデスクとして着任、選挙担当などを務めた。令和2年8月、NHKを退職。現在はフリーライター。

デイリー新潮編集部

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