中田翔の完全復活か、中島の2000本安打達成か……忘れてはならない巨人一塁手の重み
中島はパ遊撃手初の100打点も
中島は、守備の負担が大きい遊撃手としては、パ・リーグ初となる100打点を記録するなど、12年まで西武の主力として活躍。09年には「第二回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」代表にも選出され、日本代表の2大会連続優勝に大きく貢献した。だが、2013年に海外FAでメジャー挑戦を果たすも、2シーズンはマイナー暮らしが続くなど奮わず、15年に日本球界に復帰してオリックスへと入団。だが、西武時代の輝きは失われて成績は今ひとつ。18年オフに大幅減俸を拒否して自由契約となり、WBCで指揮官を務めていた原辰徳監督からのラブコールを受けて巨人に移籍した。
巨人1年目の19年は43試合に出場して打率1割4分8厘、1本塁打、5打点だったが、打撃フォーム改造が功を奏し、20年は100試合で打率2割9分7厘、7本塁打と復活。昨季も勝負所での活躍が随所にみられ、打率.271、6本塁打をマークした。
通算2000本安打まで92本(5月1日現在)と迫っている中島だが、代打での出場がメインになると大台達成が難しくなるため、好調を維持してスタメン出場の機会を増やしたいところだろう。
一方、二軍落ちしている中田だが、巨人移籍前年の20年シーズンにはパ・リーグで4年ぶり3度目の打点王に輝くなど、まだ打撃は衰えていないところをみせたいはずだ。早期の一軍復帰、4月後半の不調を払拭するような活躍を一軍の舞台でも見せることが期待されている。
中島の2000本安打達成か、中田の完全復活か――。不本意な形で入団した2人の今後の奮起が、巨人の2年ぶりセ・リーグ制覇には欠かせない。
巨人一塁手の輝かしい系譜
なお、巨人の一塁手といえば、中田や中島らのように他球団からの移籍組や、助っ人外国人選手の出場が目立っているが、前人未踏の868本塁打を誇る「世界のホームラン王」の王貞治氏や、首位打者5回で「打撃の神様」と称される川上哲治氏など、かつては生え抜きのスーパースターが活躍したポジジョンでもあることは忘れてはなるまい。
巨人の内野では、遊撃・坂本勇人と三塁・岡本和真の2人が、絶大な実力と人気を備え、ここ数年の三遊間は安定感抜群だ。さらに今季は、落ち着かなかった二塁も、吉川尚輝が首位打者争いを演じるなど攻守に高い貢献をみせている。
「あとは一塁手のみ生え抜きで決まれば……」。中田と中島の移籍組によるポジション争いを楽しんでいるファンもいるだろうが、そこに待ったをかけ、一塁スタメンの座を勝ち取る生え抜き選手の登場を待ち望むG党からは、こんな声も聞こえてきそうだ。
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