30年間賃金が上がらないのは誰のせい? 年収は韓国以下に…背景に「値上げヘイト」が

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“値上げヘイト”

 続いて、

「企業が、作る商品の価格を上げられないのが、賃金上昇を阻む理由の一つだと思います」

 と述べるのは、『日本人の給料はなぜこんなに安いのか』の著書がある、経営コンサルタントの坂口孝則氏だ。

「私はコンサルタントとして、企業が価格や調達コストを決める会議に何度も参加してきました。しかし、“値段を上げたらどうですか”と言っても、とにかく反応がよろしくないんです。どれだけ良い商品を作っても、また、原材料費や輸送費が上がろうが、常に内部努力、自社努力で値上げを抑え込もうという空気が大半でした。商品の価格を上げようというマインドがほとんどないのです」

 価格に転嫁しない場合、企業はその分をどこで調整するかといえば、まずは自社の人件費の抑え込みである。また、下請けをいじめ、調達コストを抑制させるのもその一つだ。すると下請けはそのマイナス分を自らの従業員の給与に押し付け、あるいは、孫請けの“買い叩き”に走る……。こうして皆が貧しくなっていく。

「ガリガリ君」のCMが話題に

 消費者の「値上げヘイト」に迎合してのことだろうが、かような日本企業の“乾いた雑巾を絞る”式の経営姿勢は、もはや病的と言ってもいいほど。6年前、アイスキャンディー『ガリガリ君』を10円値上げした際、製造元の赤城乳業が社員全員、頭を下げるCMを流して話題になったが、それほど値上げは「絶対悪」。長引くデフレがその悪癖を後押ししてきた。

「これまでの日本では、それでも低価格で均一な商品を作っていれば、まだ富を得ることが可能でした」

 と坂口氏が続ける。

「しかし、内需は人口減少で頭打ち、海外で売ろうにも人件費の安い新興国の商品には勝てない。こうしたビジネスモデルは終わりに近づいているのでしょう」

 本来、日本企業は高度経済成長の後、大量生産・大量販売、あるいは薄利多売から、高付加価値の商品を生み出し、高い利益率を稼ぐビジネスモデルに転換しなければならなかった。しかし、それをせず、未だに安売り競争に身を削る社も。これでは利益を生み出せず、いきおい、給料も上がらないのは当然、といえるのである。

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