「NGT48騒動」報道でトラブル発生… 元記者が直面した「NHK幹部」の“超”無責任体質

国内 社会

  • ブックマーク

大物プロデューサーには聴取せず

 しかも一連の組織としての対応ですっきりしないことがあった。なぜ、Iプロデューサーに直接、話を聞かないのか?

 IさんはれっきとしたNHKの一員で、東京・渋谷の放送センター周辺で仕事をされている。間接的にこの問題に関わった私より、直接、当事者に聞くのが一番早く、より正確な情報を得られるはずだ。結局、東京の制作部門まで巻き込んで話をこじらせたくなく、新潟局内の聴取で幕引きを図りたかったのだろうと推測している。

 部長からはこのあとIさんと連絡を取ることは一切やめるよう指示されたが、そもそもNGT48をめぐる問題自体がすでに下火になっており、Iさんからの情報提供も途絶えた。各メディアで扱われる機会も減っていった。

 この問題をめぐっては、今も私はIさんには感謝以外の感情はない。必ずしも母体のNHKに近い立場を取らなかったのも、秋元氏などとの絆の深さゆえだったのだろう。むしろ取材相手とこれほどの関係を築いたことは尊敬に値する。

 翻って新潟局の姿勢はどうだろう。東京も舞台となっている騒動でNHK本体の報道局の協力すら得られず、唯一のパイプとしてIさんをさんざん利用しながら旗色が悪くなるとまるでスパイ扱いだ。私は管理職ではなかったので、組織を束ねる立場の方は、組織防衛上、放送部長の対応は理解できるのかもしれない。だが、私は何か問題が起こると部下に責任を押しつけたがるNHKの管理職の無責任ぶりを象徴する事案と受け止めている。

大和大介(やまと・だいすけ)
昭和39年新潟県生まれ。昭和62年、朝日新聞社入社。平成9年にNHKに転職し、新潟放送局に着任。以降、横浜局を経て水戸局などでニュースデスクを担当。平成23年に東京のネット報道部に移り、NHKのNEWSWEBサイト担当デスクを4年間務めた。平成29年に新潟放送局にニュースデスクとして着任、選挙担当などを務めた。令和2年8月、NHKを退職。現在はフリーライター。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。