「NGT48騒動」報道でトラブル発生… 元記者が直面した「NHK幹部」の“超”無責任体質

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 2019年に明るみに出た「NGT48騒動」は大きなニュースとなった。元NHK記者の大和大介は、当時、新潟局で取材にあたった当事者である。そこで感じた「NHK幹部の無責任体質」とは――。

※本稿は、大和大介『元記者が証言するNHK報道の裏側―NHK受信料は半額にすべき』(展転社)の一部を再編集したものです。

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“NGT騒動”で感じた幹部の無責任体質

 平成31年1月9日、NGT48の山口真帆さんが、突然、SNSで「先月、公演が終わり帰宅時に男2人に襲われました。暴行罪で逮捕されましたがもう釈放されてしまいました」と投稿し、ネット上で大騒ぎとなった。NHKにはこうしたネット上のSNSに流れる情報を24時間、ウォッチするチームがあり、ニュース性の高いネタをキャッチすると即座に現地局にメールで情報を送る。このチームからの情報が新潟局に送られ、NHKはいち早く山口さんの自宅にファンの男2人が押しかけ、暴行の疑いで逮捕されたあと不起訴となって釈放されたとのニュースを流した。

 トップアイドルのAKB48の姉妹グループでもあるNGT48をめぐる騒動は全国的に注目され、連日、ワイドショーで取り上げられた。グループを運営する東京の会社、AKS(当時)の対応が後手に回ったことで同社への批判も高まり、NGT48のメンバーが出演する地元のテレビCMが打ち切られるなど波紋は広がった。

東京の報道局部署は「パイプがないので協力できない」

 こうした芸能界をめぐるネタに実はNHKや全国紙は意外と弱い。このケースはAKSが東京に所在するという事情もあったが、在京の民放のように日頃からワイドショーや歌謡番組を通して芸能事務所と密接な関係を築いていないからだ。もちろんNHKにも歌謡番組はあるが、担当する制作部署と報道局とは別会社のような距離があって意思の疎通はほぼない。当然ながらNHK新潟局の取材は難航した。本来なら東京の報道局で芸能ネタも扱う科学文化部などがフォローしていい事案だが、相談したところ、「AKSとはパイプがないので現地局で頑張ってほしい」と説明され、全く協力を得られなかった。

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