健康長寿を実現する「年代別の生き方」 6千人超の高齢者を診た専門医が指南

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寝たきりでも楽しめることがある

 80代で動脈硬化がない人はいません。「ウィズ動脈硬化」の考え方で向き合いましょう。また、100人に4人はがんで死ぬ年代ですが、最初に記したように、年をとるほど「ウィズ・がん」の姿勢が大切です。たとえば胃がんの手術は、日本では胃の3分の2を切除するというケースがほとんどですが、80代でそれを受けると、食事がとれず、栄養状態がガクンと落ちてしまいます。60代ならともかく、70代、80代では臓器の大きな切除はすべきではありません。

 また、できなくなることが多いなか、子供に迷惑をかけるという発想は捨てましょう。子供も親孝行をしたいのだと考え、助けてもらったほうがいいです。そして、死を意識しすぎないこと。たとえば、エンディングノートを書かないと終活にならないと思っている人もいるようです。しかし、好きで書きたいならともかく、死を必要以上に意識させるようにも思います。

 それよりも、できる範囲でポジティブに楽しみ続けましょう。たとえ寝たきりになっても、楽しめることはあります。そうしていれば、免疫力も上がって、寿命が延びた30年以上の期間を、より充実させることができるのです。

和田秀樹(わだひでき)
精神科医(老年医学)。1960年大阪生まれ。東京大学医学部卒。和田秀樹こころと体のクリニック院長、国際医療福祉大学大学院特任教授。高齢者専門の精神科医として30年以上、高齢者医療の現場に携わっている。『「人生100年」老年格差 超高齢社会の生き抜き方』(詩想社)など著書多数。

週刊新潮 2022年4月28日号掲載

特集「大反響 6千人超の高齢者を診た専門医が指南 『危ない70代』を越え『元気な80代』に 健康長寿を実現する『年代別・正しい生き方』」より

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