独立リーグ・高知の新たなる挑戦…主将はアフリカの“最貧国”からやってきた
「お前はワシの孫じゃ」
「僕も、日本に来る前、日本に行くぞと言われて大阪や東京をイメージしてきたので、佐川と越知に来てみて、ショックでした。ホントに日本かよ、って。最初は、行き先間違ったんじゃないかなと思いました。でも住んでみて、高知の人たちは本当に優しいんです。来た頃、テレビ(の取材)とかで、いっぱい僕、出ていたじゃないですか? それで『大変だ』というのを知ってたというか『もっと応援したい』というのがあったんでしょうね」
蛇足になるかもしれないが、この説明も、これから描いていくエピソードも、ラシィナが流暢な日本語で、時に笑いを交えながら話してくれたことを強調しておきたい。
近所のスーパーで買い物をしようと、商品を持ってレジの列に並んだ時のことだ。
「おー、それはわしが払うよ」「ラシィナ君、いいよ、私が払うちゃるき」
見知らぬおじいさんやおばあさんが、代金をすべて払ってくれるのだという。
「『お前はワシの孫じゃ』とか言って、買ってくれました。今でもたまにいますよ」
佐川の温泉で湯船につかっていると、ラシィナを中心に、いつの間にか何人かで輪ができていて、ミーティングのようになるのだという。
「みんな、喋り出すんです。僕の周りに来て、ああだ、こうだと。土佐弁で、何言ってるか分からない時があって、僕も『はい』しか言えなくて。名前は知らないけど、よく顔を見る人っていますよね。だから、スーパーとかで誰に会っても、ちゃんと挨拶しないと、僕が名前を知らなくても、向こうが多分知ってるんで。どこかで見たことがあると思ったら『あ、こんにちは』って。スーパーの店員さんが『いらっしゃいませ』って言うじゃないですか? 僕は『こんにちは』って言わないといけないんですよ、ははははは」
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