増える「ぼったくり」お葬式 コロナのデマで25万円上乗せ……現役葬儀社社長が明かす業界事情

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50万円、77万円などの高額請求

 もう1つコロナ禍で増えた問題に、葬儀の高額請求トラブルがあるという。

「新型コロナ感染者の葬儀をする際に、通常よりかなり高額な費用を請求する業者が増えています。実際に私のところに相談が来たケースでは、葬儀社から50万円の費用を請求されたという話がありました。通常は25万円くらいの費用で済みますから、その差額はどこから来たのか、詳細な内訳を聞くべきだとアドバイスしたんです」(同)

 感染者の葬儀では、遺体を非透過性納体袋に入れなければならず、作業する職員は防護服を着用したり、消毒作業を行ったりするなど、通常の葬儀に加え別途費用が必要な部分はあるそうだ。

「とはいえ、必要な装備の実費に利益を載せたとしても、数万円以内には収まるはず。実際にこの方が業者に費用の内訳の説明を求めたところ、業者は答えることを渋った末に、最終的には25万円でいいですよと言われたそうです。他にも病院からご遺体を運んで火葬だけするプランで、77万円を請求されたというケースも聞きました。こういった話はそこらじゅうであるようです」(同)

「是非確認を」

 佐藤葬祭でもコロナ感染者の葬儀を行う場合は、感染防止に細心の注意を払って作業をするという。

「感染対策のためには装備が必要で、別途費用が掛かるのは仕方がありませんから、何も費用が高いのがおかしいと言っているわけではありません。お金が掛かるのなら、その内訳を説明し、ご遺族が納得した上で話を進めましょうと言っているのです。コロナに限らずどんな感染症があるか分からないので、普段からご遺体に触れるときは、素手で作業はせず、体液に触らないというルールがあります。コロナ感染者のご遺体は納体袋に入れる上に、会話をしたり咳をしたりして飛沫が飛ぶことはありませんから、感染者の方と接するのと同程度ほどの装備は必要ないのではないかと思います」(同)

 その上で、「感染対策費用」などの名目で請求があった場合には、詳細を確認してみるべきだとアドバイスする。

「もともと葬儀関連は料金体系が不明瞭で、ぼったくりをしている業者が問題になることが度々ありました。特に感染者が今ほど多くない頃は、新型コロナで亡くなったということを周りの人に知られたくないと考えるご遺族も多かったです。だから、葬儀代のことを相談することも出来ず、業者に言われるがままに必要以上に高額な費用を支払ってしまったという人は多かったことでしょう。葬儀の準備をするときはご家族が亡くなられたばかりで混乱していると思いますが、是非業者に確認してみてください」(同)

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