乳酸菌だけでは不十分? 高齢者が大腸のために取るべき菌とは
長寿効果も?
アンチエイジングに効果のあるビフィズス菌もあります。協同乳業の「LKM512ヨーグルト」に含まれるビフィズス菌は、善玉物質であるポリアミンが増える環境を作り出します。このポリアミンは学習記憶の改善や心臓機能の維持、腸細胞の増殖などさまざまな機能を示すことで知られていて、細胞の活動に不可欠な物質なのです。これを増やすことで若く健康を維持していきましょうというのが協同乳業の考えのようですね。具体的にはLKM512はポリアミンの一種、スペルミジンの体内産生に寄与するといわれています。LKM512とアルギニンというアミノ酸を原料にスペルミジンの材料となる物質を腸内で作る、という仕組みです。すでにマウスに対してはLKM512に寿命延伸の効果があると発表されており、今後ヒトへの長寿効果も期待できるかもしれませんね。
雪印メグミルクが発売している「恵ビフィズス菌SP株」では胃酸に弱いビフィズス菌をカプセルで保護しています。このカプセルは、酸性では溶けずにアルカリ性で溶けるように設計されています。酸性の胃酸や胆汁酸の中ではカプセルは溶けずに菌が生き延び、アルカリ性の腸内で溶けてビフィズス菌が放出されます。ビフィズス菌が生きて腸内まで到達するのでその分、整腸作用も大いに期待できるのではないでしょうか。
SP株はがん細胞を殺す細胞や免疫担当細胞を活性化するとされます。これもBB536と同様、小腸で吸収されて効果を発揮する仕組みだと思います。また、同社の「ナチュレ恵」は免疫機能を高めたり、内臓脂肪減少を助ける乳酸菌のガセリ菌SP株と、ビフィズス菌SP株がブレンドされている数少ないハイブリッド商品で、乳酸菌とビフィズス菌の相乗効果が期待できます。
腸管と脳機能の関係
小岩井乳業の「小岩井生乳100%ヨーグルト」も菌を生きたまま腸まで届かせるための工夫がなされています。これに含まれるBB-12というビフィズス菌は、pH2.0という強い酸性下でも生存が確かめられ、胃酸の中でも生き延びて大腸に届くことが期待できます。同様に「ダノンビオ」のビフィズス菌BE80も胃酸や胆汁酸に強く、菌が腸内で減少しにくいとされています。
最近増加している認知症や物忘れが気になる人は、新しい機能性表示食品として森永乳業の「メモリービフィズス記憶対策ヨーグルト」を頭に入れておいてもいいでしょう。森永乳業独自の「ビフィズス菌MCC1274」が「認知機能の一部である記憶力を維持する」としています。その研究結果は、日本認知症予防学会でも発表されました。
例えば、グルタミン酸を食べると舌にある受容体にくっついて、脳にシグナルが送られて「おいしい」と感じます。この受容体は胃の中にもあることを味の素が発見しています。腸の細胞のDNA配列にもこの受容体の存在が推定されており、おいしさを感じると、消化液を出し蠕動運動も活発にして消化吸収を促進します。
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