乳酸菌だけでは不十分? 高齢者が大腸のために取るべき菌とは

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乳酸菌製品に比べて圧倒的に少ない

 しかし、ヨーグルトなどのビフィズス菌製品は、多種多様で活況を呈する乳酸菌製品に比べると圧倒的に少ないのが実状です。それはビフィズス菌が酸素に弱く、かつ牛乳中で増殖しにくいために培養がとても難しく、製品化が容易ではないことを示しています。大腸にすんでいるビフィズス菌は待っていれば食物繊維などの餌が流れてきて食べられる状況にあります。動物園の動物が檻の中で餌を与えられていると、獲物の捕り方を忘れ、野生の本能が失われていくように、ビフィズス菌もごく限られた物質しか分解してエネルギーにできないようになっています。つまり、ビフィズス菌を培養しようとすると、この限られた餌を探して選び、加えないといけなくなり、メーカーは開発にお金も労力もかかってしまいます。

森永乳業のビフィズス菌に関する論文数は世界一?

 その中でも森永乳業はビフィズス菌にいち早く注目して商品展開をしており、メーカーの中では頭一つ抜けていると思います。ビフィズス菌に関する論文を世界で一番出しているのは森永乳業ともいわれているほどです。その森永ではビフィズス菌BB536を含むトクホの「ビヒダスヨーグルト」がよく知られています。市販のヨーグルトの中には、ブタの腸管から採取されたビフィズス菌を用いているものもあるのですが、このBB536は50年以上前にヒトの赤ちゃんの腸から採取されており、なかなかの万能選手です。この菌は便通改善はもちろん、総コレステロール値を下げる作用、花粉症、インフルエンザの予防効果を示します。インフルエンザへの予防効果は、菌が小腸から吸収されて、NK細胞などの免疫細胞を活性化するからだと思います。

 ヤクルトの「ミルミル」に含まれるBY株の詳細はオープンになっていないようですが、ミルミル1本に含まれる菌数は120億個となっています。森永乳業の「ビヒダスヨーグルト便通改善」が1本につき20億個と記載されているので、ミルミルの菌数は非常に多いといえます。また、特徴的なのはパッケージ作りにこだわっているところです。酸素がパッケージを透過してビフィズス菌に触れないよう、ポリエチレンやアルミ箔を5層構造にしています。

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