乳酸菌だけでは不十分? 高齢者が大腸のために取るべき菌とは
「免疫力アップ」に乳酸菌を、とヨーグルトを摂取する向きは多いに違いない。しかし、それだけでは壮健な生活に不十分だとしたらどうだろう。乳酸菌では守れない大腸の健康を保つ唯一無二の手段は「ビフィズス菌」。製品別効能から摂取の仕方まで徹底ガイドする。
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一般の方で乳酸菌とビフィズス菌の違いを正確に理解している人はあまり多くないと思います。メディアやネット情報でこの二つを一緒くたに紹介していることもありますが、その役割や効能は大きく違います。
まず、二つの菌について代表的な三つの違いをご説明します。
一つ目は作り出す「酸」の種類と比率が違うことです。乳酸菌は大量の乳酸のみを作り出し、腸内細菌のバランスを保つ働きをします。ビフィズス菌は乳酸に加え、酢酸を作り出します。比率でいえば、乳酸2に対して酢酸が3。酢酸は短鎖脂肪酸の一つで殺菌能力が非常に高く、悪玉菌の生育と増殖を抑えたり、腸の動きを活発にして便通を改善する効果があります。また、血糖値を制御したり、太りにくい体質を作る、ともされています。腸内で酢酸を作り出すのは、乳酸菌にはないビフィズス菌の最大の特徴といえるでしょう。
さらにビフィズス菌の作る乳酸や酢酸はほかの腸内細菌の餌ともなり、酪酸へと形を変えます。腸管の内側には突起(腸絨毛(じゅうもう))がたくさんあります。腸絨毛が長く発達すればするほど有害な菌の付着を防ぐことができます。酪酸は腸管細胞のエネルギー源となり腸絨毛を長く伸ばす効果があるので、腸管のバリア機能を高めることができます。
開封後早めに食べたほうがいい理由
二つ目はビフィズス菌が「偏性嫌気性菌」と呼ばれ、酸素が非常に苦手な菌ということです。乳酸菌はある程度酸素があっても増殖できる一方で、ビフィズス菌は酸素があると増殖できないので、腸管の中でも酸素の少ない大腸、特にS字結腸や直腸に多くすんでいます。こうした場所では乳酸菌1に対してビフィズス菌は千と圧倒的にビフィズス菌の存在比が高いのです。基本的にビフィズス菌を含む製品は酸素に触れると菌がどんどん死んでしまうので、開封した後は早めに飲食されることをお勧めします。
最近の研究では、ビフィズス菌が大腸に多くすむ理由として、酸素だけでなく食物繊維の存在も指摘されています。ビフィズス菌はヒトが利用できない食物繊維を分解・利用できるので、それが多く存在する大腸での生育と増殖に適応している、というわけです。
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