ウクライナ侵攻で慌ててドローン研究に着手の防衛省 尖閣諸島の偵察さえできない残念な内情
機密に過剰反応
更に“リスク”を必要以上に恐れる傾向も浮かび上がるという。
「自衛隊の中にも、ドローン技術に着目していた関係者はいました。ところが、関係各所に打診したり、提案を行ったりしても、『もし墜落して敵軍に奪われたらどうする。機密が漏れてしまうだろ』と頭越しに反対されるだけだった、という話を聞いています」(同・軍事ジャーナリスト)
自衛隊は必要以上に機密保持を重視して、ドローン開発を行わなかった。一方、ロシア軍の偵察型ドローン「オルラン10」は、ユニークなアプローチで機密の問題をクリアしてしまったという。
「2014年のクリミア危機で、ウクライナ軍はオルラン10を鹵獲(ろかく)しました。内部を調べると、エンジンとカメラが日本製で、他の部品も全て西側諸国の民生品を使っていたのです。つまり、オルラン10は誰でも購入できる部品を組み合わせて作られているので、機密というものが最初から存在しないのです」(同・軍事ジャーナリスト)
例えば、オルラン10に使われている日本製のエンジンは、本来ならラジコン飛行機に使われているものだ。誰でもAmazonなどで購入できるという。
トルコのドローンにも敗北
いかにも官僚的な日本の自衛隊幹部は「ドローンが敵に奪われたらどうしよう」としか考えない。
ロシア軍は常識に縛られず、「敵に奪われても構わないドローンを作ればいい」と考えた。そして全て民生品でドローンを作ってしまったのだ。
軍事ジャーナリスト氏は「ただし、アメリカ軍の偵察型ドローンや大型の攻撃型ドローンは機密のかたまりです。その点だけは、自衛隊を擁護してもいいでしょう」と言う。
「ところが今回のウクライナ侵攻では、トルコ製のドローンも高い攻撃能力を持っていることが証明されました。アメリア製の兵器に執着しがちな自衛隊幹部は、さぞかし驚いたと思います。ただ、産経新聞が書いたように、ショックを受けても予算は僅か3000万円です。本当にやる気があるのか、と思ってしまいますね」(同・軍事ジャーナリスト)
東日本大震災で「自衛隊もドローンの研究や開発に力を入れるべきではないか」という議論が活発化したこともあったというが、結局はうやむやになってしまったようだ。
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