すず派? アリス派? なぜ私たちは広瀬姉妹に一言いいたくなってしまうのか 正反対に見えても共通するイメージ戦略

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 4月23日、今年の9月から始まる劇団☆新感線の舞台に出演予定だった広瀬アリスの降板が発表された。この4月から始まったフジテレビ系と日本テレビ系のドラマに主演するという“異例”の大活躍で、過労ではないかともささやかれる。一方、妹のすずも松坂桃李とともにW主演した映画「流浪の月」が5月に公開を控えるなど、相変わらず目覚ましい仕事ぶりだ。

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 すず派か、アリス派か。広瀬姉妹をめぐっては、必ずそういう問いが上がる。石田ゆり子・ひかり姉妹や有村藍里・架純姉妹しかり、童顔で無邪気なタイプの妹が先に売れることが多い芸能界。セオリー通り、先に大ブレークしたすずさんだが、最近はアリスさんの好感度がぐんぐん上がっているようだ。

 妹よりも活動歴が長いにもかかわらず、「すずさんの姉」という言われ方をされていたアリスさん。ここ数年で評価が逆転した理由は、大きく二つある。すずさんの注目度が高くなりすぎた分、反動も大きかったこと。そして妹の「失敗」を見てか、真逆のキャラのイメージを積み重ねてきたことだ。

 すずさんがバッシングの洗礼を受けたのが、「どうして照明さんになろうと思ったのか」「なんで自分の人生を女優さんの声を録ることに懸けているのか」という「スタッフ蔑視」発言だった。当時彼女は17歳。でも無邪気さや若さゆえの不用意さではなく、売れっ子の傲慢さというイメージがつきすぎた。

 一方のアリスさんは10代後半の頃、「地面しか見ていなかった」「説教されても響かない」と心を閉ざしていた時期があったそうだ。勝地涼さんが当時の彼女を、事務所の問題児だったと評したほどである。しかし、ふてくされたイメージは彼女にない。むしろ徹底して、明るくサバサバした面白キャラを意識していたのではないだろうか。甘え上手で常に輪の中心にいる陽キャ然とした妹とは違い、陰キャ的要素が強い自分、という見せ方をしていたように見える。主役ではなく脇役、気は強いが根はいい子という役柄の好演が続く。バラエティーでもマンガやアニメに詳しいオタク気質や酒豪ぶりを全開にしてファンのすそ野を広げていった。

 地道なイメージ戦略と演技の積み重ねがあって、アリスさんは名実ともにブレークを果たす。今期に至っては「恋なんて、本気でやってどうするの?」と「探偵が早すぎる」の2本の主演ドラマを抱えるほどだ。あまりの多忙ぶりに心配の声が上がっていた矢先の降板報道は波紋を広げている。

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