「100年に1度の記録的負け方」という阪神 矢野監督が目先の1勝にこだわり過ぎて犯している過ち

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星野監督の“視点”

 これだけ負け続けると、“休養”する監督も珍しくない。後任にはヘッドコーチや2軍監督が就くのが一般的だ。

「私はシーズン途中の監督交代には反対です。繰り返しになりますが、矢野監督は今季で辞めることが決まっています。フロントとしては慌てる必要はないでしょう。むしろ時間がたっぷりあると、前向きに受け止めるべきです。後任の監督を誰にするか、じっくり検討できるわけですから」(同・広澤氏)

 広澤氏が阪神でプレーした引退までの2年、監督は星野仙一氏(1947~2018)だった。その“采配スタイル”で、他の監督と違うと強く印象に残っていることがあるという。

「ワンサイドゲームで自分たちが勝っている時、普通の監督なら喜んでいるだけです。ところが星野さんは、いつもより表情が険しくなり、非常に厳しくなったものです。不思議に思って理由を聞くと、星野さんは『7点とか5点といった大量リードをひっくり返されると、チームは取り返しの付かないダメージを受ける』と教えてくれました。一流の監督は独自の視点を持って采配しているのだと感じ入りました」

監督の“野球観”

 星野氏は中日の監督時代、選手への鉄拳制裁も辞さないという姿勢だった。阪神の監督時代は必ずしもそうではなかったとも言われているが、2003年に優勝マジックが点灯すると、一気に厳しさが増したという。

「『これで優勝を逃したら、死んでも死にきれない』といつも口にしていました。そこから伝わってきたのは、星野さんは1勝することの難しさを骨身に染みていたということです。それを前提に選手を教育し、指導されていました」(同・広澤氏)

 翻って矢野監督は、「選手と一緒になって、目先の1勝や1敗に一喜一憂しているだけではないでしょうか」と、広澤氏は問題提起する。

「それではファンと変わりないでしょう。監督の大切な仕事の一つは、選手に自身の“野球観”を伝えることです。星野監督の“野球観”と矢野監督の“野球観”を比較すると、残念ですが深さも覚悟も全く足りないと言わざるを得ません」

デイリー新潮編集部

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