「100年に1度の記録的負け方」という阪神 矢野監督が目先の1勝にこだわり過ぎて犯している過ち
楽しむのがファン
広澤氏は「プロ野球ファンなら、阪神の弱さも徹底的に楽しみ、応援すべきではないでしょうか」と言う。
「皮肉でも何でもなく、心からそう思っています。何しろ半世紀とか、1世紀という単位の記録なのです。ハレー彗星の接近と同じレベルです。今後、自分が生きている間に“最低勝率”の記録が更新されるかどうかを考えてみれば、これもまた貴重な体験であると、ファンの皆さんも理解してくださるのではないでしょうか」(同・広澤氏)
まさしく「勝つだけが野球ではない」という言葉もある。
「それこそ『勝ってほしい』と懸命に応援している阪神ファンの皆さんには申し訳ありませんが、少なくとも残り11球団のファンは、この“100年に1度の大記録”がどう推移するのか、ぜひしっかりと見届けてほしいですね。阪神が勝ったら喜び、負けたらもっと応援する。これも立派に、プロ野球の楽しみをファンに提供していると思います」(同・広澤氏)
なぜ、矢野燿大監督(53)が率いた2022年の阪神は、これほど弱かったのか──少なくとも今後10年は、プロ野球ファンの間で分析が盛んになるかもしれない、と広澤氏は言う。
不可解な采配
そうはいっても、広澤氏は矢野監督の采配に納得がいかない点もあるという。
「矢野監督は開幕前に、今季での退任を発表して話題になりました。優勝しようが、最下位だろうが、必ず辞めるのです。普通、監督が『最下位になって解任されるのは嫌だ』とジタバタするなら分かります。しかし矢野監督の進退はどうあっても決まっているのですから、本来なら順位など気にせず、泰然とした態度で采配を振るえるはずです」(同・広澤氏)
ところが、矢野監督の采配は、まるで逆に見えるという。「記録的な勝率の低さに焦っているのかもしれませんが、矢野監督は“目先の1勝”にこだわりすぎです」と言う。
「特にスタメンです。必要以上に変えているように思えます。特に1番・近本光司(27)、4番・佐藤輝明(23)、5番・大山悠輔(27)の3人は、基本的に固定すべきでしょう。彼らは未来の阪神を背負って立つバッターです。来季の監督のためにも、1番、4番、5番の打順は変えない。それでこそスムーズなバトンタッチができるというものです」(同・広澤氏)
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