「100年に1度の記録的負け方」という阪神 矢野監督が目先の1勝にこだわり過ぎて犯している過ち

スポーツ 野球

  • ブックマーク

ベーブ・ルースと大谷翔平

 2004年、大リーグのシアトル・マリナーズに所属していたイチロー(48)は262安打を放ち、シーズン最多安打の記録を更新した。

 それまで記録を持っていたのは、ジョージ・シスラー(1893~1973)が1920年に記録した257安打だった。

 記録更新は84年ぶりという、まさに“100年に1度の大記録”だった。ちなみにシスラーが所属していたチームはセントルイス・ブラウンズ(現ボルチモア・オリオールズ)だった。今は存在しないチームという点でも、記録の古さが伝わってくる。

 ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平(27)は、投打の“二刀流”で大活躍している。ここでもやはり“100年に1度の大記録”が注目を集めた。

 ボストン・レッドソックス時代のベーブ・ルース(1895~1948)も“二刀流”でチームに貢献。1918年には投手として13勝を挙げ、打者として11本塁打を記録した。

 この「投手として2ケタ勝利、打者として2ケタ本塁打」というルースの記録を、大谷が更新するのではないかと期待されている。

 昨季の大谷はホームランが46本と、ルースを完全に凌駕した。残念なことに勝ち星は9勝と、僅か1勝だけ足りなかった。もし大谷が今年、記録を更新すれば、104年ぶりということになる。

半世紀ぶりの快挙

「もしロッテの佐々木朗希投手(20)が、4月17日の日ハム戦で“2試合連続完全試合”を達成していたら、日本のプロ野球でも大リーグでも誰も成し遂げたことのない、まさに“100年に1度の大記録”が達成されるところでした。ZOZOマリンスタジアムで試合を観戦したお客さんは、記録達成の瞬間には立ち会えませんでしたが、立派な“歴史の証人”となりました」(同・広澤氏)

 こうした大記録が、なぜ突然にファンの前に現れるのかと考えても、その理由を解明することは難しい。

「なぜシスラー、ベーブ・ルース、イチローが大記録を達成し、大谷や佐々木が大記録に迫れたのか、博学の野球関係者やファンに訊いても、『彼らが天才だから』としか答えられないでしょう。野球の神様のプレゼントとしか言いようがないのです」(同・広澤氏)

 そして広澤氏は「阪神の不振も同じように、“100年に1度の大記録”と考えるべきだと思います」と言う。

「高橋ユニオンズはパ・リーグのチームで、1954年に創設されました。ところが56年に解散しています。おまけにトンボユニオンズを名乗っていたのは、55年の1年間だけでした。今季の阪神が最低勝率を更新したことで、ほとんどの人が覚えていない67年前のチーム名と、その勝率がスポーツ紙の1面に大きく報じられたわけです。これはこれで、立派な“半世紀ぶりの快挙”でしょう」(同・広澤氏)

次ページ:楽しむのがファン

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。