白井球審はなぜ佐々木朗希にあれほどエキサイティングしたのか

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常識を超えた革命的な存在

 球審となればなおさらだろう。きわどいボールの判定で四球になったら、完全試合は途切れる。自然体でジャッジするのはきっと容易ではない。

 改めてこの出来事は、球審を責め、佐々木を賛美することで「解決」するものではない。佐々木朗希という常識を超えた革命的な存在が、プロ野球界に、いや日本社会の至るところに想像を超える波紋を起こし、衝撃を与え、いままでぼんやりと維持されていた常識や慣習が突如破壊されるような、変革の動きが始まっている可能性がある。なぜなら、この試合の球審が、佐々木のあの程度の態度であそこまで激高するなど、誰が予想しただろう。そして、いまだに誰が論理的に理解できるだろう。理屈を超えた衝撃を佐々木は巻き起こしている。そのことを私たちはもっと深く胸に留めておくべきかもしれない。

小林信也(こばやし・のぶや)
1956年新潟県長岡市生まれ。高校まで野球部で投手。慶應大学法学部卒。大学ではフリスビーに熱中し、日本代表として世界選手権出場。ディスクゴルフ日本選手権優勝。「ナンバー」編集部等を経て独立。『高校野球が危ない!』『長嶋茂雄 永遠伝説』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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