〈知床観光船事故〉GWに同じコースを辿った50代観光客が証言する「寒さ」と「強風」

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観光船が消息を絶った「カシュニの滝」

「私は股引を履いて、ホッカイロを幾つも貼っていましたが、それでも船がウトロ港を出て、海風に晒された瞬間、ブルっと震えが来ました。船は知床半島の断崖に沿って進み、ヒグマがよく出現するスポットや、山頂に雪を頂く知床三山などを巡って行きます。なかでも、ハイライトと呼べる名所が、高さ30メートルの高さから飛沫を立てて海に流れ落ちる“カシュニの滝”でした」

 今回、事故に遭った観光船「KAZU 1」は、このカシュニの滝周辺を航行中に連絡が取れなくなった。

「私が乗船したときは晴れ渡って波も穏やか。万事快調だったから気になりませんでしたが、滝近くの水面にはゴツゴツとした岩が顔を出していました。そりゃ、船があそこにぶつかったらひとたまりもないでしょう。しかも、手がかじかみ、陽が降り注いでいるのに空気は冷たい。海に放り出されたとして、冬物のダウンを着込んで岸まで泳ぐなんて不可能に近いと思います。遠く択捉島や国後島を臨む半島の北端に着くと、強烈な風に晒され、波のうねりに船があおられて立っていることもできない。揺れで気分が悪そうなお客もたくさんいましたよ。今回の事故当時は、波の高さがその時よりもはるかに高い3メートルと報じられているので、乗客はそもそも身動きすらできない状態だったと思います」

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