〈知床観光船事故〉GWに同じコースを辿った50代観光客が証言する「寒さ」と「強風」

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 北海道の知床半島沖で起きた観光船「KAZU 1」の遭難事故。発生から3日目となる4月25日には、新たに子ども1人の死亡が発表された。事故当日、観光船は乗客・乗員合わせて26人を乗せて斜里町ウトロを出港したが、これまでに救助された11人全員の死亡が確認されたことになる。このニュースを耳にして「背筋が凍った」と語るのは、2019年に家族で知床岬を巡るクルージングに参加した50代の男性だ。

「本当に驚きましたよ。事故が起きたのは私たち家族が3年前の4月28日に観光船で周ったのと全く同じコースですからね……。もし、あの時、海に放り出されていたら、私たちも無事だったとは思えません」

 この男性が乗船したのは事故を起こした業者である「知床遊覧船」の船ではなかった。だが、現地では、複数の業者が同じルートで観光船を走らせていた。ウトロ港を発って、知床岬までを往復する、それは定番のコースだった。

「GW直前に乗船予約をしたところ、現地のスタッフからは“こちらの気候は真冬と考えてください。防寒についてはフル装備でお願いします”と念を押されました。東京ではお花見シーズンも終わって、子どもたちが半袖で過ごすことも増える時期です。ただ、現地に着いて納得しましたね。ツアー前日には雪が降って、船が出航してくれるのかも危ぶまれたほどでした」

 翌日、どうにか雪がやんで、空は一転、雲ひとつない快晴に。観光船に乗り込んだ客は、誰もが冬物のダウンを着こんでいる。その上から係員の指示でみなライフジャケットを装着した。

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