世界最高齢119歳「田中カ子」さん逝去 45歳ですい臓、103歳で大腸がん克服…長寿の秘訣を語っていた

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「年寄りの冷や水」

 12歳から働いてきたカ子さんは、ノートとペンを肌身離さず、仕事の合間にも日々の印象的な出来事を綴る習慣を持っていた。メモ魔だった彼女が“執筆活動”を本格化させたのは、40代後半から。渡米した兄の影響で、終戦後、地元に設立されたキリスト教会に入信し洗礼を受けたことで、聖書の教えや本などから着想を得た言葉を熱心に書き込んでいった。

 その一節を紹介すると、

〈老人が老春を謳歌してどこがわるい〉

〈大切なことは年寄りらしく生きることではなく、自分のペースの許す範囲で最大限に心を若く保つこと〉

〈年寄りの冷や水 歳をとると無理なことはしないものだが若い人に負けないくらい元気なところをみせつけること。私が時々こんなことして反省しています。ごめんなさい カ子〉

 独特の人生訓が綴られたノートは、閲覧自由で周囲の人々に回し読みもされ、評判を博しているのだ。

 そんな老いも病もものともせぬ母に対し、息子たちが「長寿日本一を目指そう」とカ子さんを励ましたことがあった。その際、彼女は「ようし、がんばるぞぉ」とおどけて周囲を笑わせたそうだが、遂には「日本一」どころか「世界一」の称号を手にするに至った。

 そんな彼女は最近、「あと5年は生きる」と呟くこともあるそうだ。男女合わせた歴代の長寿者で記録に残る世界最高齢は、97年に亡くなったフランス人のジャンヌ・カルマンさんの122歳。日本人の最長寿記録は昨年亡くなった田島ナビさんの118歳。共に女性でカ子さんもあと5年と言わず6年、7年と長生きすれば、人類史を塗り替える可能性もあるのだ。どうか酷暑に負けず末永くお元気で――。そう思わずにはいられない、めでたい「116歳ライフ」なのである。

週刊新潮 2019年8月29日号掲載

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