世界最高齢119歳「田中カ子」さん逝去 45歳ですい臓、103歳で大腸がん克服…長寿の秘訣を語っていた

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ボケとツッコミ

「カ子さんはとってもお茶目な方なんですよ」

 とは、彼女が入居する介護施設「グッドタイムホーム1 海の中道」(福岡市東区)の職員で、介護福祉士の廣田耕作氏(43)だ。

「カ子さんは職員の服を引っ張ったり、指でつんつんとしたりちょっかいを出してくる。何だろうと職員が振り向くと、彼女はとぼけて知らん顔。冗談で人とコミュニケーションをとるのが上手で、協調性もあるから施設でも友人が多いんです。最近は耳が遠くて聞こえる時と聞こえない時があり、長い会話を伴うコミュニケーションは難しい代わりに、挨拶や握手、手を振るという仕草を欠かしません。いつも笑顔で明るい性格なので、周りに自然と人が集まる人気者です」

 ひときわ暑いお盆の最中、本誌(「週刊新潮」)記者が福岡の施設を訪ねると、ニッコリ笑い手を合わせ、丁寧に会釈をするカ子さんの姿があった。

 で、さっそく彼女は隣に座る男性が自分と違う方向を向いているのを幸いに、わき腹をちょんとつつく。驚いた彼が顔を向けると、素知らぬ顔を決め込むのだ。続けてカ子さんが「何か食べたい」と言ったのを聞いたこの男性。仕返しとばかりに食べ物を渡す真似をしたところ、彼女はそれを受け取り口に運ぶフリをする。最後は、“何もないじゃない”と両手を開き、おどける仕草をして笑うのだった。

 ボケとツッコミの一人二役。「芸人・カ子さん」の一面を垣間見させてくれた。

 再び廣田氏が話すには、

「冗談ばかりでなく、カ子さんは周囲への気遣いが凄い。例えば、介護職員が入居者の世話で手一杯の時に『私はいいから、他の人の面倒を見に行きんしゃい』と声をかけてくれる。周囲の様子を本当によく観察していて気を配るので、職員もカ子さんの人間性を尊敬しているんですよ」

 齢116の彼女からすれば、80代、90代の超高齢者も息子や娘の世代にあたる。カ子さんは施設では“入居者の母”として慕われているんだとか。

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