海老蔵はなぜ嫌われる? 松竹から離反、実母とも実家売却を巡り対立か
「輝きが乏しい」
市川家の実家は都内の高級住宅街に建つ豪邸で成田屋の稽古場を兼ねていた。「週刊女性」(21年6月15日号)によれば、亡き夫との思い出が詰まった建物に住む希実子さんは売却に反対したが、海老蔵の決断で更地になったという。背景には億単位といわれる市川家の借金を松竹が肩代わりしていたこと。それを襲名前に清算したかった、松竹の縛りから解放されたかったなどの事情があるとされるが、かように彼の周囲では不協和音が絶えない。
「海老蔵さんの芸を観ていると、以前のような輝きが乏しい印象を受けます。ご自身の公演が多く、先輩格の歌舞伎役者と共演しない影響が大きいのでは……」
と懸念を示すのは、桜美林大学名誉教授で古典演劇評論家の水落潔氏である。
「海老蔵さんも考えがあってのことだと思いますが、やはり先達と一緒に舞台に立てばさまざまな気付きを得られ修業につながる。故・中村勘三郎さんもコクーン歌舞伎や平成中村座、テレビ出演など従来の枠を超えた試みを数多くやりましたが、仁左衛門や玉三郎といった先輩を招き、教えを乞う一面があった。もちろん人間ですから好き嫌いで同じ舞台に呼ばない役者もいたでしょうが、基本的には歌舞伎に対し謙虚でした」
勘三郎との違いは
演劇評論家の上村以和於氏はこう指摘する。
「海老蔵さんが今のような知名度を誇る以前は、歌舞伎役者として別格の大物といえば勘三郎さんでした。女性関係でも、宮沢りえや米倉涼子などと浮名を流して書き立てられるなど、海老蔵さんと同じ部分はありましたがね。勘三郎さんは新しい挑戦をするにしても、歌舞伎座で誰にも文句を言わせない演技を見せて基礎を固めた。海老蔵さんはまだ若いのに歌舞伎座から遠ざかっているので、風当たりが強くなるのはあたり前。基本となる歌舞伎座の舞台と新たな試みとのバランスが取れていけば周囲との関係もよくなり、何も言われなくなると思います」
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