バラエティ「人気No.1」の「オモウマい店」 他の番組には絶対マネできない“芸当”とは
裏方タレントとの違い
「ディレクターが出演者になる番組は珍しくはありません。最近でも『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京)や『ポツンと一軒家』(テレ朝/朝日放送制作)、『月曜から夜ふかし』(日テレ)なども、本来は裏方のスタッフが“出演者”になっています」
大泉洋と丁々発止と渡り合う「水曜どうでしょう」(北海道テレビ)の藤村忠寿ディレクターも、当初は裏方だった。
「古くは『オレたちひょうきん族』(フジテレビ)の“ひょうきんディレクターズ”、『進め!電波少年』(日テレ)の“T部長”、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジ)の“ガリタディレクター”、『陸海空 地球征服するなんて』(テレ朝)の“ナスD”もそうですね。さらに遡れば、大橋巨泉さんや青島幸男さん、高田文夫センセイも裏方から表に出た人々です。ただし、彼らはタレントや演者として扱われ、共演者たちをイジり、あるいはイジられるなどして笑いを取っていました」
「オモウマい店」の番組スタッフとどう違うのだろう。
「『オモウマい店』のスタッフは、あくまでもディレクターやADの“裏方の人”というキャラで出演しています。取材先の店主が、スタッフを○○ちゃんと呼んでくれるのでスタッフに目が行きますが、あくまで主役はお店なんです。店主のキャラが強烈なので7~ 8割は、彼らのキャラで面白くなっています。スタッフのカラミで番組が面白くなるのは2~3割といったところでしょう」
埼玉の蕎麦店にADが弟子入りしてしまった回もあった。
「そこまで行けば、5割くらいはスタッフの力で面白くなったと言っていいでしょう。店や店主の面白さを引き出すために、スタッフがどう絡むかも重要な役割となっています。とはいえ、あくまで自然体の取材でなければならず、裏方がウケを狙うと視聴者は離れてしまいます。ウケを狙ってナンボの芸人やタレントとは大きく違うところで、大変なプレッシャーがかかる仕事ですよ」
意外に大変なのかも。
「それもこれも予算が少ないからです。タレントを使うとスケジュールが自由に取れないので、ロケ時間も短くなります。その点、ディレクターやADなら何時間でも、時には何日でも満足いくまで取材が可能ですからね。ある意味、苦肉の策から生まれたヒット番組という側面もあると思います」
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